ラグビーワールドカップ(W杯)日本代表ロックのトンプソン・ルーク(38)が、所属する近鉄の開幕戦にスタメン出場、54分間プレーした。会場には下部リーグでは異例の観衆5068人が集まり、今季限りで引退する大ベテランに声援を送った。

「むっちゃうれしい。感動しました。(近鉄に入った)14年前は、こんな多くのファン、絶対なかったからね」。約8割が埋まったスタンドを前に、前半6、24分には、いずれもラインアウトモールに入り、バックスが奪った2本のトライに貢献した。

W杯の疲労、38歳という年齢…。この日は不出場でもおかしくなかった。近鉄の有水剛志ヘッドコーチは「まだ全くチームにフィットしてませんが、本人の希望で『とにかく出たい』と」と明かす。トンプソンは「もちろん出るつもりでした。僕の最後のシーズン。1つ1つが全部大事な試合です」と説明。「(近鉄で)14年間ですよ。(システムは)みんな知ってる。大丈夫」と笑った。

トンプソン効果で、観客は“倍増”した。試合主管の大阪府ラグビー協会の尼田勝彦理事長(68)は「そらトンプソンの効果は大きいと思う」と言い、仮に今回のW杯がなく、トンプソンが代表になっていなかった場合なら「予想は2500人かな」と話した。

「あんだけテレビで“トンプソン、トンプソン”と名前を呼ばれてね。いろいろな特集もあって、彼のキャラクターも知ってもらえて。近畿のトンプソンが全国のトンプソンになった」というのが、同理事長の見立てだ。

関西協会の灘英世広報担当(61)も「スタメンですからね。大げさに言えば、彼が(観客の)半分呼んだみたいなもん。休んでもエエのに、出る。彼のラグビーへの思いちゃいますか」と喜んだ。

ラストシーズンにあって、次戦はさらに特別。24日の豊田自動織機戦は今季最初で最後のホーム、花園ラグビー場開催になる。トンプソンは「花園、ラストチャンス。本当に楽しみ。サヨナラ試合は絶対勝ちたい」と話していた。