静岡聖光学院が17-12で東海大静岡翔洋に競り勝ち、2年連続6度目の優勝を飾った。

5-5で折り返した後半は、相手のお株を奪う展開力を発揮して2トライ。ハーフタイムに選手間でチーム戦術を練る「修正力」を発揮し、新人大会と総体に続く県3冠を成し遂げた。全国大会の抽選会は12月7日に行われ、同27日に大阪・花園ラグビー場で開幕する。

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ノーサイドの笛が鳴ると、聖光フィフティーンは跳び上がって歓喜の輪をつくった。1トライ差の残り5分間は我慢の時間。リスクを冒さずに時計の針を進め、反撃の時間を与えなかった。佐々木陽平監督(42)は「最後のボールキープは、1度も練習したことがなかった」。僅差の中で勝利をたぐり寄せた戦術は、チームの強みを象徴するプレーだった。

前半は自慢のFW陣が押し返され、安易なミスも続いた。開始5分間だけでノックオンは2回。入念な対策を練ってきた相手の素早い出足に苦戦した。それでも、動じなかった。主将のCTB大西馨汰(けいた、3年)は「前半はFWに頼りすぎた。話し合って立て直せたのは、修正力があったからだと思う」。ハーフタイムには選手だけで意見を交換。FWだけの力任せではなく、展開力を織り交ぜた攻撃にシフトした。

後半7分にはスクラムから右に展開し、SO高橋謙(2年)がトライ。同12分には敵陣でのハイパントから相手のミスを誘い、主将自らダメ押しのトライを奪った。普段の練習でもハーフタイムに似た時間を設けて、課題を指摘し合っているという。合言葉は「トーク&フィックス」。1年間積み上げてきた会話と修正が大一番で生きた。

昨年の全国大会は2回戦敗退。「シード撃破」がチーム共通の思いだ。先制トライを挙げたWTB赤津圭哉(2年)は「W杯の日本が見せたようなジャイアントキリングを起こしたい」。力強さと柔軟な戦術で、花園に「聖光旋風」を巻き起こす。【神谷亮磨】