【写真特集 日本の色・前編】ツバメのひなの黄色いくちばし 芝桜のピンク サロマ湖の朱色

コロナ禍で苦難の日々が続いています。感染が収まったとはいえないゴールデンウィーク。日刊スポーツでは日本各地の心温まる写真を「日本の色」と題してお届けします。旅気分でお楽しみください。

特集記事

日本の色プロジェクト取材班

■エサを求め口を大きく開けるツバメのひな■長崎県東彼杵町

長崎県東彼杵町にあるJR大村線の千綿駅舎に、親鳥に、エサを求めて口を大きく開いて「ジャージャー」と鳴きながらアピールするかわいらしいツバメのひな5羽の姿があった。ツバメが巣を作った家には幸福が訪れるといわれるほど、幸せの象徴として知られる。親鳥は働き者で子育て上手な仲良し夫婦だ。巣作りからひなの巣立ちまで共同で、ひなへの給餌も1日数百回分担して行う。巣に戻ると、大きな口を開けているひなから順番にエサを与えていた。=2020年5月20日撮影

■色鮮やかに見頃を迎えた芝桜■北海道大空町のひがしもこと芝桜公園

網走郡大空町にある「ひがしもこと芝桜公園」では青空のもと園内一面に咲く鮮やかなピンク色の芝桜が春の訪れを感じさせてくれた。=2020年5月21日撮影

■発光しながら飛行するゲンジボタル■佐賀県嬉野市

佐賀県嬉野市の岩屋川内ダム付近では、初夏の風物詩であるホタルが飛行し始めた。日本にいるホタルの中でも大きく光も明るい西日本のゲンジボタルは約2秒間隔で1回光り、清流に群生する。オスの光はメスとめぐり会うための合図の1つでプロポーズしているという。=2020年5月23日撮影

■縄張り争いで口を開け威嚇するムツゴロウ■佐賀県小城市芦刈町

有明海に生息するムツゴロウが産卵シーズンを迎えた。佐賀県小城市芦刈町にある六角川河口の潮が引いた干潟で、オスは、メスを迎えるために新しい巣穴を掘り、水色の斑点がある背びれを広げ、求愛のジャンプでアピールする。「恋敵」のオス同士が口を開け威嚇し合う姿も見られた。=2020年5月21日撮影

■新都心歩道橋から臨む新宿大ガード■東京都新宿区

2020年5月14日撮影

■幻想的なグラデーション■北海道サロマ湖

日の出前、太陽の上がる方向が明るみ出す。オホーツク海に面するサロマ湖では気温0度の中で見る夜空が朱色に染まっていく暖かい春の夜明け。=2020年5月8日撮影

■クモの巣につく雨粒■神奈川県川崎市

2020年5月16日撮影

■タマナワザクラの実から落ちる雨のしずく■神奈川県川崎市

2020年5月16日撮影

■夕暮れを迎える函館八幡坂■北海道函館市

カメラ2台に三脚、必要な機材を準備して1歩また1歩と急な坂を上っていく。十数キロのリュックが肌寒い函館の夕暮れで大粒の汗を誘う。ふと立ち止まり、額を拭いながら顔を上げる。ゴールの丁字路ははるか先だ。「長いなぁ」。そうつぶやきながら苦笑いで視線を足元に落とす。再び右足、左足と無心で足を出していくと、ようやく道が平らになった。「やっと着いたぁ」。機材を下ろして体を伸ばし、そこで初めて振り返った。

八幡坂─ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにも掲載された函館の名所だ。急勾配の坂の両サイドには街路樹が並び、街灯は石畳を照らす。その先に見えるのは函館湾。その昔、青函連絡船として活躍した摩周丸のライトアップが見える。

思わず息をのんだ。急な坂を苦しい思いで上ったから見える景色も格別に感じたのだろうか。

今の世の中も急な坂道のように思う。足元に視線を落として1歩ずつ確実に進んでいかなければならない。これを上り切ったらどんな景色が見えるのだろうか。そんなことを考えながら、しんと静まり返った坂の上で風の音に耳を傾けていた。=2020年4月27日撮影

■山奥の神秘的な景観 滝とわずかに残る雪■北海道遠軽町丸瀬布の山彦の滝

真冬には結氷し氷柱に姿を変える遠軽町の「山彦の滝」では差し込む春の日ざしが落差約28メートルの力強い飛瀑(ひばく)と、それを囲む新緑の木々とわずかに残る雪を照らし柳色の景色を見せてくれた。=2020年5月8日撮影

■群泳するコイ科の稚魚■神奈川県川崎市の鶴見川

2020年5月15日撮影

■精進湖から望む富士山と満天の空■山梨県富士河口湖町

織り姫とひこ星の七夕伝説は、天帝により「天の川」を隔てて東西に離れ離れにされた夫婦が、1年のうち1度だけ会うことが許された「牛郎織女」という中国発祥の物語。

夜空を見上げると南北に横切る雲のような光の帯に見える「天の川」は、一年中見ることができる。時期や時間で星空の見え方が変わるが、一般的には4~10月ごろが観測のおすすめ。月の光で見えづらくなるため、新月のタイミングを狙って撮影。天の川が見え始めた午前0時過ぎ、富士山上空には雲が覆う。気温0度の中、諦めかけた同2時過ぎから満天の星が20分ほど望めた。天の川は肉眼で一応見える程度で、1枚の撮影に20秒費やす写真ならではの「天の川」の光景を残すことができ、心洗われるようだった。

撮影場所の精進湖は山梨県富士河口湖町にあり、町内のいたる所から富士山を望むことができる。きらっと一瞬光って消えた流星に願いを込めた。終息後には、ダイヤのように輝く星空を大切な人とゆっくり眺めたい。=2020年4月24日撮影

■群生するエゾエンゴサクの中を駆け回るエゾリス■北海道浦臼町の浦臼神社

北海道に、ようやく春が訪れた。札幌から車で1時間30分ほどで到着する浦臼町にある浦臼神社の敷地内では、ピンク色のカタクリと淡い青い色のエゾエンゴサクの群生が見頃を迎えている。エゾエンゴサクは北海道の森に春を告げる花として知られており、雪解けの後、真っ先に咲き始める。まだ色の少ない春の森。その中に出現する花畑はとても幻想的だ。

そんな花畑に時折、「妖精」が現れる。エゾリスだ。駆け回る姿や食事する姿を見ることができる。近年SNSで話題となり、一目見ようと全国からカメラマンが訪れる。多い日には1日200人が、花畑を取り囲みシャッターチャンスを狙っている。=2020年4月22日撮影

■浜辺に打ち上げられ青く光るホタルイカ■富山県富山市の八重津浜海水浴場

新月間近の富山県富山市にある八重津浜海水浴場は真っ暗で、ライトなしでは歩けない。ホタルイカを狙う人たちが波打ち際でヘッドライトを装着し、網を片手に練り歩いている。時折押し寄せる強めの波にホタルイカが、ボワッと青く発光する。浜辺に打ち上げられ触手をばたつかせるも、やがて消えてしまう。「ホタルイカの身投げ」と呼ばれるこの光景は、刹那的で美しい命の灯火だ。

3月から5月の深夜にかけて深海から陸近くまで上がってくるのは、産卵のためと考えられている。新月前後の好天、満潮時に見られるという説もある。大群で押し寄せる姿を「爆湧(ばくわ)き」と呼ぶ人もおり、旬の味を求め多くの人が集まる。ある地元の女性は、釜揚げし、からしみそにつけて食べるのが一番と言う。

「爆湧き」した身投げを見ることはできなかったが、たとえ数匹でも美しかった。消えていく青い光を見つめていると生命のはかなさを感じる。その光景を思い出しながら、からしみそ添えのホタルイカの軍艦巻きをほお張った。濃厚なホタルイカの風味が口いっぱいに広がる。いつか「爆湧き」を見てみたい。その後の「爆食い」も、楽しみだ。=2020年4月24日撮影

■愛犬とたわむれる女性■香川県三豊市の父母ケ浜

「瀬戸内海の天空の鏡」と呼ばれる香川県三豊市にある父母ケ浜(ちちぶがはま)。日の入り前のマジックアワーに出る夕焼け色の幻想的な風景が潮が引いて残った水面に鏡のように映し出す。「日本の夕陽百選」にも選ばれ、南米ボリビアのウユニ塩湖みたいだとSNS映えする人気の絶景スポット。2019年は46万人以上が訪れた。干潮と日の入り時刻が重なり、風がないのが条件だ。

両親と訪れた女性は、瀬戸内海の西に沈む夕日を背に、愛犬とたわむれていた。新社会人となった彼女は、コロナ禍の影響を受け、入社式が延期となり、出社できない状況だが、淡い春夕焼けが新しい門出に勇気を与えているようだった。=2020年4月10日撮影