【写真特集 日本の色・後編】レインボーチューリップ 夜空に輝く雷 木にとまるメジロ

コロナ禍で苦難の日々が続いています。感染が収まったとはいえないゴールデンウィーク。日刊スポーツでは日本各地の心温まる写真を「日本の色」と題してお届けします。旅気分でお楽しみください。

特集記事

日本の色プロジェクト取材班

■西日が当たった鶴生田川の川面を夕風に揺られる館林市のこいのぼり■群馬県館林市鶴生田川

群馬県館林市内を流れる鶴生田川に架かる「ふれあい橋」から、幻想的な風景が広がる。こいのぼりが川一面に赤、青、緑、黒、紫と揺らめく。川面に写り込み、さらにその数を倍にする。モザイク画のような景色にカメラのシャッターを切り続けた。

こいのぼりといえば家庭の庭先に飾られるのが一般的だ。だが、館林市では3月下旬から5月の大型連休明けくらいまで、鶴生田川を中心にいくつかの沼でも掲揚され、一帯で里まつりが行われる。桜の季節とも重なり、ライトアップされたこいのぼりと桜を目当てに、毎年多くの観光客が訪れる。館林市出身でつつじが岡公園職員の島野智昭さんは「暖かくなってきたんだな」と慣れ親しんだ光景に春の訪れを感じるという。

鶴生田川のこいのぼりの大群はゆったりと夕風に身を任せていた。=2020年4月11日撮影

■かやぶき屋根と桜が美しい五箇山合掌造り集落■富山県南砺市

2020年4月23日撮影

■豊富な水量を誇る御嶽山の新滝■長野県木曽郡大王滝村

長野県王滝村の御嶽山にある新滝へ向かう石段は、コケで覆われていて滑りやすい。浮き石もあり気を抜くと、バランスを崩し転んでしまう。ゆっくりと近づくにつれ、滝つぼを打ち付ける音が大きくなる。うっそうとした林が開けると、滝しぶきが風に乗って降りかかる。石段の山道を登り火照った体に、天然のシャワーが気持ちいい。鳥居の下から見上げる新滝は、澄み切った雪解け水を勢いよく送り続ける。

御嶽山には新滝と清滝があり、どちらも御嶽信仰の修行が行われる神聖な場所だ。昔、御嶽山に登るには滝行などの「百日精進潔斎」と呼ばれる修行をし、身を清めなければいけなかった。今でも信者が訪れ滝行や洞窟にこもる。夏場でも水温は12度前後と冷たい。また冬場は厳しい寒さから氷柱となり、見る者を圧倒する。

滝の水は山を下り、牧尾ダムにたどり着く。そこから木曽川を下り岐阜県と愛知県の濃尾平野、さらに知多半島まで運ばれ、遠く離れた人々の生活を支えている。心地よい滝のしぶきを浴びながら、雪解けしたばかりの水の門出を見送った。=2020年4月17日撮影

■白いチューリップを色水で染色した「レインボーチューリップ」■群馬県前橋市のカネコ種苗ぐんまフラワーパーク

群馬県前橋市のカネコ種苗ぐんまフラワーパークは、チューリップの見頃を迎えている。園内に足を踏み入れると、辺り一面に広がる光景に目を奪われた。約50品種16万球が色とりどりに咲き誇り、見ているだけであっという間に時間が過ぎてしまう。

同パーク企画課の秋間麻衣さんは「花は手をかけたらかけただけ咲いてくれる。見るだけで生命力を感じられる。花、植物の力を信じたい」と話した。

チューリップの季節が終わっても、一年中、季節の花々が楽しめる。今は我慢。日常が戻ったら再び、きれいな花々にパワーをもらいに行きたい。=2020年4月12日撮影

■夜空に輝く雷■東京都杉並区高円寺

2020年5月6日撮影

■桜並木が見頃を迎えリラックスした様子の馬■北海道浦河町の優駿さくらロード

名馬のふるさと、北海道浦河町にも5月上旬になって、ようやく桜の季節が到来した。帯広から車で約2時間。途中まだ雪の残る山道を抜け、うらかわ優駿ビレッジアエルに到着した。例年この時期になると桜祭りが開催され、ライトアップされた桜の下では、のべ1万人が春を楽しむ。馬たちはいつもどおり元気に歩き回り、おいしそうに草を食べ、寝転がる。その姿に元気をもらった。

もうひとつ浦河町が桜シーズンの目玉を準備していた。それが「おばけ桜」。JRAの敷地を見渡すことのできる高台にあり樹齢推定80年以上で樹高は16メートル、幹周は道内最大の4・8メートルにもなるエゾヤマザクラだ。

春の風が吹き抜けるこの桜の下で胸いっぱい空気を吸い込んだ。目の前には北海道の大地が広がる。思わず誰かに伝えたいと思える景色だ。=2020年5月7日撮影

■日光を浴びる竹林■神奈川県川崎市麻生区

神奈川県川崎市の自然林に囲まれた歩道を歩くと、竹林が春の日差しを浴び柔らかに輝いていた。「竹取物語」のかぐや姫を思い出すと、土の中から顔を出した「タケノコ」が目に入った。

タケノコは竹の地下茎の節から出る若芽。読んで字のごとく「竹の子」である。1日で数十センチ伸びるほど成長が早く、漢字の「筍」の由来は、一旬(10日間)で竹になるからだという。春によく目にする円すい形のタケノコは、日本の竹林に多い「モウソウチク」という種類。春の食材を代表する味覚の王者といわれる。

川崎市で、副業で農業を営む男性は「朝6時から掘った。いわゆる朝採り。多いときは100キロ近く掘るよ」と、4・5キログラム以上あるタケノコの重さを量りながら話してくれた。選び方、ゆで方、食べ方も丁寧に教えてくれた。穂先は黄色が良い。緑色は日に当たった証拠で、えぐみが強くなる。天ぷらがおすすめ。

うまみ成分であるアミノ酸が含まれ、疲労回復にもいい。食物繊維の塊で、カリウムも豊富に含む。だが、アクが強いので、食べ過ぎにはご注意を。=2020年4月14日撮影

■結婚式の前撮りを行う新郎新婦■岡山県倉敷市の倉敷美観地区

情緒あふれる町並みが楽しめ、岡山でも屈指の観光地の倉敷美観地区。橋の近くで写真を撮っていると、向こう岸にいる男性に声をかけられた。約1時間後に結婚式の前撮りを行う新郎新婦が川舟に乗ること、川舟の後ろに桜の木と白鳥が写ってきれいに撮れる場所があることを教えてくれた。

自転車で美観地区に来ては、新郎新婦の写真を撮るのを楽しみにしているそうだ。過去に撮った写真を誇らしげに見せながら「せっかくならいい写真撮って帰りなよ」と笑顔で話してくれた。和装の2人は風情ある白壁の建造物や柳並木によく映え、撮っているだけでも幸せな気分になった。=2020年4月14日撮影

■イルミネーションで彩られた登山電車■神奈川県箱根町

神奈川県箱根町にある強羅駅には、2019年の台風19号の影響で動けなくなった登山電車が止まったまま。車中はオレンジ色に輝き、訪れた人が思い思いに書いた花びら形のメッセージカードが貼られている。箱根湯本-強羅間の代行バスの臨時待合室となっていて、地元の人たちが中心となってイルミネーションなどの飾り付けをした。箱根登山鉄道強羅管区の時田和美助役は「きれいでしょ」と笑顔を見せる。

「インスタ映え」する、と足を運ぶ観光客も少なくない。自身の誕生日に訪れた横川漠さんと庄野小梅さんも記念撮影をし、メッセージを書いた。横川さんは庄野さんとの時間を楽しみ「夢がかなう場所」、庄野さんは横川さんに向けて「誕生日おめでとう」と記した。

駅のホームには地元の函嶺白百合学園の子供たちから贈られたメッセージと応援の旗が飾られている。時田助役は「励みになる」とかみしめる。箱根山噴火、台風、新型コロナウイルスと苦労は続く。それでも再び活気を取り戻す日を待つかのように、温かいイルミネーションはともっている。=2020年4月10日撮影

■木にとまるメジロ■愛媛県新居浜市

愛媛県新居浜市の山あいを車で走ると、朝日を浴びた新緑が目に入り、停車させた。春の寒暖差で、まだ冷たい朝の空気が心地よく感じ、深呼吸すると、「ホーホケキョ」とさえずる声が聞こえた。思わずカメラを手にし、美しい音色を頼りに姿を探した。警戒心が強い「ウグイス」はあまり人前に姿を現すことはなく、何とかカメラのファインダー越しに見つけたが、シャッター音に反応し、一瞬で飛び去ってしまった。さえずるのは縄張りをつくり、見張っているオスで、メスに「危険なし」の合図を送っているという。

JIS慣用色名で定められている「ウグイス色」は、羽の茶と黒の混ざったような緑色。だが、花札の「梅にウグイス」の札に描かれている鳥の絵が「メジロ」に近い黄緑色であることで、「メジロ」を「ウグイス」と勘違いすることも多く、「ウグイス色」を鮮やかな黄緑色と指すこともある。

数十分後、再び撮影のチャンスが訪れた。うまく「ウグイス」が撮れたと思って、画面で確認すると目の周りが白い。「メジロ」だ。「チーチー」という鳴き声も美しい音色だった。=2020年4月11日撮影

■備中松山城展望台から望む備中松山城■岡山県高梁市

2020年4月15日撮影

■真っ赤なつぼみには力強さが宿っている■群馬県館林市つつじが岡公園

群馬県館林市にあるつつじが岡公園の広大な敷地に、100余品種約1万株のつつじが赤、白、ピンクと彩りを添えている。推定樹齢800年を誇る「勾当内侍遺愛(こうとうないしいあい)のつつじ」や地元出身で宇宙飛行士の向井千秋さんが宇宙へ持っていき発芽させた「宇宙つつじ」などとバラエティーに富み、訪問者を楽しませる。

公園内の城沼では水鳥が戯れ、つつじの下では猫が昼寝をする。普段は散歩や釣り、家族にカップルが思い思いの時間を過ごす憩いの場だ。自粛する人たちの心を悟るように、ギュッと閉じた真っ赤なつぼみには力強さが宿っていた。=2020年4月11日撮影

■水島展望台から臨む水島コンビナートの工場夜景■岡山県倉敷市の水島展望台

岡山県倉敷市の南部を通る一般県道で、全長約18キロの鷲羽山公園線(旧鷲羽山スカイライン)。日が落ちるととても暗く、昼間に下見をしておけば良かったと後悔する。恐る恐る車を走らせると、道の脇に車数台が止められる駐車場と水島展望台が見えてくる。鷲羽山公園線から臨める夜景は「夜景100選」「日本夜景遺産」にも選ばれており、水島展望台では水島コンビナートを中心としたパノラマ夜景を見ることができる。工場夜景ファンのみならず、家族連れやカップルにも人気のスポットだ。

水島コンビナートは総面積が約2549ヘクタールにもおよび、倉敷市の総面積の約7%を占める。東京ドーム545個分もの広さを誇る工業地域だ。同展望台には外灯がないため、車の中で撮影機材を準備してから展望台へ向かった。

眼下には無数の光が浮かび上がり見ているだけでも十分きれいで癒やされる。写真に写してみると、無機質な工場のシルエットを白やオレンジ、緑の光が照らしだし、煙突から出る煙も相まってさらに幻想的な世界を演出してくれる。SF映画のような世界を味わえる工場夜景にすっかり魅了された。=2020年4月14日撮影

■亀老山展望公園から望む来島海峡■愛媛県今治市

松山空港へ向けて降下する機窓から、愛媛県今治市とその沖の大島との間にある来島海峡の急潮が目に入った。

来島海峡は、昔より「一に来島、二に鳴門、三と下って馬関瀬戸(関門)」とうたわれるように日本3大急潮流の1つ。世界共通で「右側航行」が原則の海上交通だが、広島県呉市の方から愛媛県西条市側に流れる南流時は、強い潮流だと、かじ取りが難しくなるため、カーブが少ない中水道(馬島と中渡島の間)を通り、逆潮で西水道(四国本土と馬島の間)を通る船とともに「左側航行」となる。

今治市と広島県尾道市を結ぶ全長約60キロメートルの「瀬戸内しまなみ海道」は「サイクリストの聖地」と呼ばれている。長期出張中の休日を利用し、広島県福山市から約4時間かけて、潮風に吹かれながらサイクリングを楽しんだ宮城県仙台市在住会社員の鈴木政彦さんは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、誰にも会わないようにと決め、自転車に乗り、海峡に架かる来島海峡大橋などが望める「亀老山展望公園」で休息をとった。仕事で機械のメンテナンスや修理を行う。「依頼主に会うので、体調管理には気をつけている。早い終息を祈るしかないですね」と話した。=2020年4月11日撮影

■国営ひたち海浜公園に咲くネモフィラの花■茨城県ひたちなか市

茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で、ネモフィラの花が満開で見頃を迎えている。英名で、赤ちゃんの澄んだ瞳という意味で「ベビーブルーアイズ」と呼ばれる。小さくてかわいい淡い青色の花が4・2ヘクタールの丘一面に530万本咲き誇る光景は圧巻だ。=2020年4月16日撮影