フィギュア26年五輪は5回転の戦い!? 佐藤駿、三浦佳生ら次世代にも注目/記者座談会その4

北京オリンピック(五輪)が行われた2021-22年のフィギュアスケート界。競技会の大小にかかわらず、多くの選手が輝きを放ちました。現場で取材を重ねてきた担当記者の木下淳(41)阿部健吾(40)松本航(31)による座談会。全4回の最終回では、種目を問わず総合的に情報を発信する特集ページ「Figure365」に携わり、感じた思いを語り合いました。

フィギュア

木下淳・阿部健吾・松本航

<フィギュアスケート2021-22年シーズンを振り返る:その4>

北京五輪女子フリーで演技する樋口新葉

北京五輪女子フリーで演技する樋口新葉

紀平復活に期待 樋口、河辺も再始動

木下「本当にいろいろあった五輪シーズンだったけど、早くも選手たちは26年のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けて動き始めているね」

阿部「樋口新葉選手は北京で過ごした2週間で、引退も考えていた心が大きく動いた。4回転への挑戦なども誓っている。情感の豊かさに、本人が求めるジュニア時代のスピード感が加われば、まだまだ魅力が増しそう」

北京五輪女子SPの演技をする河辺愛菜

北京五輪女子SPの演技をする河辺愛菜

松本「河辺愛菜選手も、とても大きな経験を積んだ1年になりましたね。これからは樋口美穂子コーチと再出発ですが『ブルーム・オン・アイス』後には『表現の部分で細かいところまで気を付けたい』と意気込んでいました。次の4年で表現面にさらに磨きがかかると思うと、楽しみですね。あとはジュニアの頃から取材をしてきた紀平梨花選手の復活も期待してしまいます。全ての力を注いで北京五輪に向かっていましたが、最後はブライアン・オーサー・コーチを含めて、4年後や将来を考えて重たい決断を下したそうです。また競技会で、元気な姿を見たいですね」

21年4月世界国別対抗戦で演技する紀平梨花

21年4月世界国別対抗戦で演技する紀平梨花

木下「復活といえば、男子では佐藤駿選手に期待したい。19年のジュニアGPファイナル王者で、日本初の4回転ルッツ&フリップ同時成功者となったジャンパー。北京五輪の男子フリー当日である2月10日に脱臼癖がついた左肩の手術を受けていた、と明大の入学式で聞いた時は驚いた。嫌らしい話、ドラマ性がある(笑い)。って、それは冗談として、本当に頑張ってほしいと思えるエピソード。『全身麻酔だったんですけど、今からフリーが始まるね、って話をしていたらスッと意識がなくなって。手術が終わって目覚めた時には結果が出ていた。優真すげぇな、羽生選手も大舞台で4回転半に挑戦して、すごい!』と。そう思った瞬間が、文字通り4年後への再スタートの瞬間なので、まずは6月と言っていた本格復帰から、焦らず最前線に戻ってきてほしい。

21年全日本選手権、フリーの演技を終え左肩を押さえる佐藤駿

21年全日本選手権、フリーの演技を終え左肩を押さえる佐藤駿

あとは、今年1月の4大陸選手権で銅メダルを獲得した三浦佳生選手。世界ジュニア選手権では負傷明けで13位と悔しい結果に終わったけれど、今季は自信を持ってシニアに転向予定。悔しさを晴らすべく、猛スピードからの4回転ジャンプを連発する姿が今から想像できる」

21年全日本選手権でフリーの演技をする三浦佳生

21年全日本選手権でフリーの演技をする三浦佳生

松本「次世代の注目株である島田麻央選手、柴山歩選手らはもちろん、男子のノービスでも中田璃士選手や岡崎隼士選手などが成長中です。取材をしていると、必ずと言っていいほど『羽生結弦選手の…』『宇野昌磨選手の…』と今のトップ選手の名前が出てくるんですよね。今季の結果を見て、また憧れる子どもたちも増えるはずです」

全日本ジュニア選手権女子を制した島田麻央(撮影・松本航)=2021年11月21日、名古屋市ガイシプラザ

全日本ジュニア選手権女子を制した島田麻央(撮影・松本航)=2021年11月21日、名古屋市ガイシプラザ

21年全日本選手権女子SPで演技する柴山歩

21年全日本選手権女子SPで演技する柴山歩

木下「年齢制限の関係で、ミラノではなく、札幌市などが招致を目指している30年の冬季大会を見据えることになる選手も出てきそうだけど、一方で自国開催となり、そこに新時代の日本を支えているスケーターたちがそろうことへの期待も膨らむ。長く、その姿を365魂で追っていきたい」

20年東京フィギュアスケート選手権で演技する中田璃士

20年東京フィギュアスケート選手権で演技する中田璃士

21年NHK杯エキシビションで演技する岡崎隼士

21年NHK杯エキシビションで演技する岡崎隼士

阿部「世界に目を向ければ、羽生選手のクワッドアクセル(4回転半=4A)挑戦が1つのきっかけで、どんどんチャレンジする選手が出てくるはず。国内でも憧れを超えるために挑む選手が出てきてほしい」

木下「鍵山選手は『本当にすごい覚悟。僕なら五輪の舞台でやれない』と4A挑戦に感服していた。そして自身に対し、父正和コーチが跳べると太鼓判を押す5回転ジャンプについては『僕はまだ考えられないです。でも必要な時代が来れば。できればミラノでも、その時代が来ていないといいな』と笑っていたけれど、羽生選手が4回転半の世界初認定で時代を動かしてしまったので。近い将来、国際スケート連盟(ISU)が5回転の基礎点を設定することになるだろうね。その意味でも4年後が楽しみ。次の日本代表も羽生選手、宇野選手、鍵山選手の3人かもしれないくらいレベルは高いし、友野一希選手や山本選手が意地を見せるかもしれないし、佐藤選手、三浦選手が台頭するかもしれない。他にも日本は多士済々。新シーズンの開幕が待ち遠しい」

21年全日本選手権でフリーの演技をする友野一希

21年全日本選手権でフリーの演技をする友野一希

フィギュアの話題、どんどん発信していきます!

木下「座談会を終えて、ますます『Figure365』取材班は忙しくなるな、と思った次第です」

松本「……(最後まで宣伝してる)」

木下「『他にも何か伝えておきたい!』ということがあれば、思いの丈をどうぞ」

松本「4年後に向けて、良かった部分だけでなく、改善点も検証が必要だと思います。北京五輪の代表選考でも、特に女子とアイスダンスでは難しい選考になりました。全員が納得するのは難しいとは思いますが、少なくとも『世界レベルで戦えるかを最後は大事にします』だったり『全日本選手権という大一番で結果を残せたかが大事です』だったり、選考側の考えの軸のようなものを、選考される側と共有できていれば…と思ってしまいました」

阿部「他競技でも柔道であれば、国内の成績よりも海外の成績を重視して世界代表を選ぶ。逆に競泳は国内の一発選考。フィギュアも明確な軸を決めることも選手のためかもしれない」

木下「……。2人に言われてしまったので、座談会の第2弾があれば、そこで! まずは今月27日からのアイスショー『ファンタジー・オン・アイス』や、来月のISU総会で議論される年齢制限や新ルール、さらには各スケーターの新プログラムなど、これからもジャンルを問わず、総合的にフィギュア情報を発信していけるよう努力していきます」

3人「新シーズンも『Figure365』をご愛顧いただけますよう、よろしくお願いいたします」

北京五輪団体で銅メダルを獲得し記念写真に納まる、左から小松原尊、小松原美里、木原龍一、三浦璃来、宇野昌磨、坂本香織、鍵山優真、樋口新葉

北京五輪団体で銅メダルを獲得し記念写真に納まる、左から小松原尊、小松原美里、木原龍一、三浦璃来、宇野昌磨、坂本香織、鍵山優真、樋口新葉

 

 

【ニッカンコムのフィギュア特集ページ「Figure365」はこちら】

◆木下淳 04年入社。大学時代、村主章枝さんと同じ授業を受けた際にフィギュアを知る。文化社会部、東北総局、整理部をへてスポーツ部。サッカーでリオ五輪とW杯ロシア大会、一般班で夏は東京五輪組織委と柔道、冬は北京五輪を取材。

◆阿部健吾 08年入社以来、スポーツ部一筋。フィギュアは12年からで、20年から再び。北京大会でオリンピックは4大会目で、担当競技を持たずに横断的に取材、かつホテルで簡易調理器具で“料理担当”。4月からは企画担当など。

◆松本航 13年10月入社。19年ラグビーW杯日本大会、五輪は18年平昌、21年東京、22年北京を現地取材。体育大出身だが氷の上では膝がガクガク。好きな要素はスパイラル、ジャンプは「セカンドループ」。185センチ、100キロ。

(おわり)