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裏CINEMA by相原斎
    2006/03/16 バックナンバーへ

初デートに最適の作品とは

−カースド(3月18日公開=米)−

 「エキサイト」のアンケートによると、初デートで見たい映画のジャンルは男女ともアクション・大作系がトップだ。ホラー・サスペンス系は男性支持率1・6%、女性2・8%とそろって最下位である。が、これが本音だろうか。ディズニーランドのホーンテッドマンションやコースター系アトラクションは常にファミリーより若いカップルが多数派だし、恐怖体験の共有がデートの格好の刺激剤となることに異論はないだろう。

 ホラー映画のネックになっているのは過度な残酷描写と救いのない結末だと思うが、ウェス・クレイブン監督の作品はその辺をするりとクリアし、青春ドラマの要素も加味して格好の「初デート映画」となっている。

 テレビ局勤務の姉と気弱な高校生の弟。交通事故に遭った2人はその直後に何者かに襲われ、爪痕のような傷を負う。事故に巻き込まれたもう1人の女性は惨殺死体となって発見された。以来、2人の体内には不思議なエネルギーが宿る。姉は日毎セクシーになり、いじめにあっていた弟はクラスのボス的存在に堂々と立ち向かう。ある日、テレビ局を訪れた占い師が姉を見て「呪いがかかっている」。これを解くには彼女の周囲で人間になりすましている呪いの発信元の“それ”を殺すしかないというのだ。ときを置かずしてまたも惨殺死体が発見される。被害者はどちらも姉の恋人と関係があることがわかる。犯人は? 占い師のいう“それ”とは? 姉弟の体にはしだいに隠しきれない変化が現れ、タイムリミットは迫ってきたようだが…。

 「エルム街の悪夢」(84年)「スクリーム」(96年)といずれもシリーズ化された傑作で知られるクレイブン監督は縦横に手腕を振るう。一気に緊張させる導入、“それ”の容疑を複数の人物に振り分ける謎解きの興趣、その疑わしい人物たちと姉弟を一挙に対峙させるクライマックスの密室空間…。見せ場の連続だ。

 一方で、上記の2作の間に12年のブランクがあることから想像がつくのだが、この監督はフィルモグラフィーにも激しい起伏がある。デビュー4年目の「サランドラ」(76年)でシッチェス恐怖映画祭グランプリを獲るが、その後低迷。「エルム街−」で復活した後、再び沈み、「スクリーム」で再浮上という具合だ。

 ジョンズ・ホプキンス大で哲学を専攻したクレイブンは、そのまま教職に就く。が、学生から自主映画の助言を求められたのをきっかけに映画に興味を持ち始める。映画界に引き込んだのは「13日の金曜日」のショーン・S・カニンガム監督だ。クレイブンのプロ初仕事はカニンガム監督の「性戯・秘戯 絶倫ポルノ狂態」(71年)の編集だった。

 映画監督という職業では珍しい受動的な人である。が、一方で周囲から与えられるきっかけには敏感に反応し、エロでもグロでも偏見なく面白がれるという特性も浮かび上がる。10年前後のメガヒットの周期も、自分の才能を生かせる周囲や世間の気運を巧みにつかんでいる、と肯定的にみるべきなのかもしれない。

 メーンキャストの姉弟は、「アダムス・ファミリー」(91年)のウェンズデーでホラー映画常連を不動にしたクリスティーナ・リッチと舞台で活動するジェシー・アイゼンバーグがふんしている。クレイブン作品の持ち味の1つは乗り越えなくては行けない“恐怖”を青春ドラマ的な“人生の壁”に重ねるところである。オタク風の弟が呪いの影響で強くなり、恋敵のいじめっ子に立ち向かい、ガールフレンドをゲットするくだりがまさにその部分。というわけで同じ初デートでも“電車男”のそれに最適といえそうな作品である。

(このコラムの更新は毎週木曜日です)

【相原斎】

プロフィル
相原斎の写真 ◆相原 斎(あいはら・ひとし)
 1956年5月27日、東京生まれ。早大卒。80年入社。文化社会部では主に映画を担当。同部デスク、部長を経て現在編集局次長。著書に「寅さんは生きている」(朝日ソノラマ)。
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