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第385回    角野卓造  
2003.10.26付紙面より

角野卓造
写真=夕日が差し込む公園のベンチでリラックスした角野卓造
(撮影・鈴木豊)

“ダシの効いた自然な味” ラーメン屋の親父さん

 「あれ、『渡る世間』のラーメン屋の親父(おやじ)さん?」。いえいえ違います。3年先まで舞台のスケジュールが決まっている超売れっ子俳優・角野卓造(55)だ。現在、東京・新国立劇場で井上ひさし氏(68)の話題作「夢の泪(なみだ)」に出演している。劇場の楽屋を訪ねた。人気ドラマで見せる顔とは違う素顔の角野卓造って、どんな人?


苦労も笑い話

 嫁と姑(しゅうとめ)にはさまれてきゅうきゅうとしている気弱な中年亭主。

 TBSの高視聴率ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」、角野の役はそうである。

 しかし、目の前の角野は堂々と胸を張り、目には力を込めて、滑舌よくインタビューに答える舞台俳優だ。

 決して豊富とはいえない頭髪。スタイルだって普通である。が、それが何? 「僕は美形で売ってませんから」。体からみなぎる自信が、そう言っているようだった。そう、男はそうでなくちゃ!

 公演中の舞台は、敗戦翌年の「東京裁判」を扱い、作者の井上ひさし氏が、日本の戦後史を見つめている。主演・角野の役どころは新橋に事務所を持ち、この裁判にかかわろうとする売れない弁護士だ。

 重いテーマだが、舞台は歌ありドタバタありの娯楽色の強い音楽劇に仕上がっている。


 角野 井上さんの芝居って、いつもそうじゃないですか。難しいことを素材にしても、市井の人を主人公に分かりやすく見せる。今回も、あの戦争(第2次世界大戦)が何だったのか? それを今の問題として扱ってます。

 中年の男たちが見に行ける芝居が少ないといわれる中、客席には若者から高齢者まで珍しく男性客も多い。戦後の日本を考えさせられる貴重な舞台といって過言ではない。

 −−ところで角野さん、舞台で、王様とか王子様の役とかあまりないですよね

 角野 ハハハ、僕が例えば「デンマークの王様です」とか、やっても似合わないでしょ。それよりも、どこにでもいる人間を自然に演じたいんです。

 「普通の人の、それもさりげないたたずまい」。それを演じられる役者として角野は定評がある。それ故、三谷幸喜氏の芝居、井上氏の芝居と次から次、もちろんテレビも含め引っ張りだこなのかもしれない。

 角野 昔、文学座の先輩・北村和夫さんに徹底的にしかられたことがあるんです。「ダメだ、ダメだ、ダメだ」。もう何をやってもダメだですよ。全人格を否定されてるような怒られ方をしてね、「やめてやろう!」と何度も思った。

 −−それは、若いころ

 角野 えぇ。20代。まぁ、ヘタだったんでしょうが(笑い)。自分ではそうは思っていないわけですよ。自分では、生意気盛りですから自信満々で。ところが、人には、こう見えているだろうと思ってやっていることが、人から見れば見えていなかったということ。芝居を演じる楽しさの1つは、自分自身の発見だと思うんですね。役を演じながら、共演者、観客を通して、自分を見ることができる。それができていなかった。今は感謝してますけど、あの時はつらかったなぁ、本当に「ダメだ、ダメだ、ダメだ」なんだから(笑い)。

 この人が笑いながら言うと、苦労も昔の笑い話に聞こえる。が、それは本当の苦労を知っているからではないのか。「名優・角野」一日にして成らずである。


「緊張」分かる

 ラーメンを作り続けて13年になる。無論、TBSドラマの中の話。役の上でのことである。しかし、視聴者は、時に現実とドラマを錯覚する。

 角野 僕がラーメン屋さんにブラリと入るでしょ。そうすると、店の人がピクッと緊張するのが分かるんですよ。オッ、同業者が来た。それから、ちょっと間を置いて「いらっしゃい」。自分の勘違いに気づくんですね。

 −−あれだけ長い間、ラーメン屋さんをやっていると、店構えを見ただけで、ここはうまいかどうか、わかるんじゃないんですか

 角野 ですから、僕は本業じゃない(笑い)。

 −−それでも

 角野 うーん、家族でやってる店がいいですね。それも、いささか古めの店。店主の親父の気持ちが、かあちゃんや息子にしっかり伝わっているから。時給いくらで、昨日入ったような店員さんが作ってくれるのとは違う。そういう店を探して僕は歩いています。

 −−それじゃあ、やっぱりドラマの「幸楽」だ

 角野 そうなりますか(笑い)。


えなりに説教

 「渡る世間」の橋田寿賀子の脚本は家族を描いて冗舌である。絆(きずな)の大切さを説きながら、その過程では「いいことも、悪いことも会話の中で丸出し」にぶつけ合わせていく。見る方は、その中の誰かの役に、必ず自分を投影できる。

 −−演じている方も、その絆は本当の家族以上になりませんか

 角野 まぁ、そんなこともないし、共演者とベタベタした付き合い方もしていない。でも、えなり(かずき)君が大学受験する時だけは「受かったら、もう仕事をやめて学生に専念しろ。上の世代の人間とばかり付き合ってきただろうから、同世代の人間の中で恋をしたり失恋したり。やりたい勉強を探したり集中する方がいい。仕事はいつでも戻ってこられる!」って説教しちゃったんですよね。でも気づいたら、これ共演者の会話じゃなくて、親父ですよ。なんでオレ、親父になってんのって。

 ちなみにえなり君は今、浪人中。この“親父”のセリフをどう聞いたか

 角野 「エッ、エェ…」とか言ってましたけど、まぁ、聞かないでしょ(笑い)。本当の父親の話だって、それはなかなか聞かないんだから。

 家族の絆ということでいえば、実際の角野家はどうなのだろうか。

 父親は広島で県会議員の経歴を持つ。母は医者の娘。本人も慶応病院で生まれ、高校・大学は学習院。普通にいえばお坊ちゃんである。

 角野 いやぁ、父親は2期目は落ちましたし、その後は、いろいろ転職して喫茶店、焼き鳥屋、サラリーマンと変わりました。だからお坊ちゃんじゃないですよ。ただ、自分が転々としたぶん、1人息子の僕に、しっかり就職して欲しかったんだと思いますよ。大学は文学部に行くと言った時は「つぶしが利かない」と怒って経済学部に行かされました。それでも就職の時、文学座に入って。その時もまた「どうするんだ! 食えないぞ!」って、本当に怒っていました。

 −−母親の方は

 角野 「お父さんも好きなことやってきたんだから、あなたも好きな道に進めばいい」。母はいつもやさしかったです。

 が、この父親も、実は怒るばかりではなかった。

 角野 初めて大きな役をもらい舞台に立った時、両親そろって見に来てくれて、終演後、楽屋に母と来た父は目を真っ赤にして「良かったよ」って言うんです。うれしかったんだと思いますよ。でも今になれば、父の喜んでくれた気持ちが切ないぐらい分かるんですけど、当時はそうでもなくて。「しめた、これで、もう怒られねえ」。そんなもんでした。

 その父も、10年前、脳こうそくから長い闘病生活を経て74歳で亡くなる。

 角野 その後ですけど、父がひそかにつくってくれていた僕のスクラップが出てきて。そしたらテレビ欄の中の僕の名前にまで赤い線が引いてあって、そんなに心配させちまっていたのかって。

 今、角野家にも大学生の1人息子がいる。

 −−同じ道を進んで欲しいとは?

 角野 それは絶対ない。役者は大変ですから。

 「役者は大変」。それは、まさしく角野自身が、父から言われ続けた言葉ではなかったか。いつのまにか亡くなった父親に似て…、息子を心配する父。これもまた家族の絆である。


ドーンと重い男…見てみたい

「夢の泪」で共演中の三田和代(60)「人間に明暗があるとすれば、今の角野さんは「明」の部分が売れていらっしゃるけど、『暗』の部分も持ってる方だと思います。「陽気な父さん」ばかりでなく、暗く重い部分。普段は明るい容ぼうでカモフラージュされていますが、とてもデリケートで、とんがったところもお持ちで、そういうところが見えると、ハッとします。軽妙な役が得意ですが、ドーンと重い男を演じられるとタマネギの皮をもう一皮むくように、隠されたものが見えてきそうです。私はそこにひかれるし、そういう角野さんも、見てみたくありませんか?」


 ◆「夢の泪」 井上ひさし氏が「東京裁判」をテーマに据えた注目の3部作の第2作目。松岡洋右元外相の補佐弁護人の仕事が舞い込んだ弁護士夫婦(角野卓造・三田和代)が、仕事を引き受けるかどうかまでの騒動を描く。東京裁判とは何だったのか、戦争責任とは何なのか? 現在の日本の閉塞(へいそく)状況と照らしあわせながら、戦後史を問う舞台。共演は藤谷美紀、熊谷真実など。(11月3日まで)


 ◆TBSドラマシリーズ「渡る世間は鬼ばかり」 橋田寿賀子脚本で、90年にスタート。通称「渡鬼」と親しまれ、過去放送された6シリーズでは、最高34・2%、平均23・5%と常に高視聴率をキープしている。共演は泉ピン子、藤田朋子、えなりかずきら。


 ◆角野卓造(かどの・たくぞう) 1948年(昭和23年)8月10日生まれ。東京都出身。学習院大経済学部卒。70年に文学座研究所入所。主な出演舞台は「温水夫妻」「夢の裂け目」「バッド・ニュース★グッド・タイミング」ほか多数。84年紀伊国屋演劇賞個人賞、99年読売演劇大賞最優秀男優賞、00年芸術祭賞優秀賞など受賞歴も多い。テレビドラマは「渡る世間は鬼ばかり」木村拓哉主演の「HERO」ほか。家族は夫人(女優・倉野章子)と長男。


(取材・馬場龍彦)

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