無年金の障害者の元学生が逆転敗訴
学生の国民年金加入が任意の時代に加入していなかったため、障害を負っても障害基礎年金を受け取れなかったのは違憲として、広島市の鳥羽秀範さん(39)ら男性2人が国に不支給処分の取り消しと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は22日、原告勝訴の1審判決を取り消し、請求を棄却した。
草野芳郎裁判長は判決理由で「成人学生を国民年金の強制適用対象から除外したり、未成年の障害者に年金を支給したりすることには、一定の合理性があり、憲法に反するとは言えない」と指摘した。
原告側は近く上告する方針。
学生無年金訴訟をめぐる高裁判決は3件目で、いずれも原告が勝訴した1審の違憲判決が覆り逆転敗訴。昨年3月の東京高裁判決以後、地裁レベルでも続いている原告に厳しい司法判断の流れに沿う内容となった。
判決によると、鳥羽さんは大学4年だった88年に交通事故で左半身などに障害を負い、もう1人の男性も90年に病気のため四肢まひになった。2人は広島県知事に障害基礎年金の支給を申請したが退けられた。
昨年3月の1審広島地裁判決は、20歳以上の学生を任意加入とした国民年金法の規定が85年の法改正時点でも存続したのは「合理的理由のない差別で違憲」と認定。国に計400万円の支払いを命じ、不支給処分も初めて取り消した。
控訴審でも原告側は「法は成人学生に年金受給を閉ざす不合理な差別があり違憲。法改正時点ではそれが一層明確になっている」と主張したが、高裁判決は「不合理であるというほどの事情の変動とは言えない」と退けた。
[2006/2/22/14:02]
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