【第52回】
10〜18歳起こりやすい
糖尿病(2)
高校生のE子さん(17)は、2週間ほど前にひどい風邪をひいて寝込んでしまった。風邪は数日で治ったが、その後、何となく体がだるい毎日が続いた。のどや口が異常に渇くので、水ばかり飲むようになった。トイレの回数も急に増えた。夜中もトイレに行きたくて何回も目が覚め、体調があまりにも悪いのでかかりつけの医師を受診した。症状を話し、血液検査をしたところ、血糖値が500ミリグラム/デシリットルと高く、糖尿病専門医のいる総合病院を紹介された。検査の結果、1型糖尿病と診断された。
1型糖尿病は一度発症すると、生涯インスリンを打ち続けなければいけない。E子さんはほっそりした体形で、規則正しい生活をしてきた自分が糖尿病になるとは、信じられず、すっかり落ち込んでしまった。「糖尿病のうち1型糖尿病は5%しかいませんが、10〜18歳に起こりやすいのが特徴です。生活習慣病である2型糖尿病とは全く違う病気です」と説明するのは船橋市立医療センター(千葉県船橋市)の内科医で糖尿病専門医の岩岡秀明医師だ。
「特定な体質を持っている人が、ある種のウイルス感染を引き金に発症する病気であるということしか分かっていません。すい臓のインスリンをつくる機能が破壊されてしまうため、インスリンが不足します。急性の場合は数週間から数カ月で進行します。大人の場合、劇症型の症例もあり、数日間で高血糖によるこん睡状態となった例もあります」と岩岡医師。
思春期の子どもは体調の悪さなどを親に伝えない場合がある。子どもが水などをあまりにも頻繁に飲むようなら、気をつけよう。風邪をひいた後などに、体調がなかなか回復しない時にも注意して見守ることが大事だ。「1型糖尿病は、糖尿病専門医のいる病院に受診し、専門の治療を受けましょう。突然、インスリンの自己注射が必要な状態になってしまうので患者のショックも大きい。思春期の子どもの場合、保護者、学校の担任や保健師の方などと、話し合いや調整を行うことも医師の役割です」と岩岡医師は説明する。
【ジャーナリスト 月崎時央】
|