【番外編】
メンタルヘルスの総合拠点
精神保健福祉センター
「今日のデイケアは調理でした。メニューはシーフードカレーと野菜サラダ、フルーツヨーグルト。おいしいランチでした」とにこやかに話すのは、大分精神保健福祉センターハートコムおおいた(大分市)のデイケア課長で、精神科医の小野妙子医師だ。
この日、調理に参加したのは25人。社会的ひきこもりの若者もいれば、統合失調症の回復期の人もいる。「積極的に調理に参加する人、テーブルをふくだけの人、食べるだけもオーケーです。みんなで協力しあいながら、この場に参加することを大事にしたい」と小野医師。精神的な問題を体験した人やその家族とって、安心して所属できる居場所があることは、精神的に大きな支えだ。
ハートコムおおいたの精神科デイケアの活動メニューには、ヨガやエアロビクス、バドミントンなどのスポーツもあれば、茶道、パソコン、対人関係のノウハウを学ぶSST(生活技能訓練)、日帰り旅行もある。
精神保健福祉センターは、各都道府県と政令指定都市にあり、現在全国に61施設。精神医療と福祉を合体させた機能を持つ。「こころの健康総合センター」(大阪府)「こころの健康相談センター」(横浜市)など自治体によって多少名称が違う施設もあるが、地域のメンタルヘルスの総合的拠点として思春期、精神科の問題、アルコールや薬物依存の問題、自殺防止、高齢者の痴ほうなどについてのサービスや情報を提供する。専門機関なので、スタッフも医師、看護師、精神科ソーシャルワーカー、心理カウンセラー、保健師、作業療法士などさまざまな職種がそろっている。
一般に精神保健福祉センターが受ける相談は、市町村の保健センターや県の保健所などでは対応しきれないような複雑なものとされているが、公的サービスだから、思春期のことで困ったら遠慮なく相談してみよう。ただ都道府県に1つしかない場合が多いので、相談内容によっては、役割分担をしていて、より地元に密着した保健所や保健センターのサービスの利用を勧められる場合もあることを覚えておこう。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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