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本紙記者コラム「見た・聞いた・思った」
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2004/08/24付紙面より 過去のコラム一覧へ

長渕剛と見た日の出

文化社会部 松田秀彦記者

 日が昇るのを見たのは、いつ以来になるだろう。

 長渕剛が、21日夜から22日朝まで、鹿児島の桜島のふもとで、9時間に及ぶオールナイトコンサートを開いた。36曲目の「GOOD−BYE青春」を歌い始めた午前5時すぎ。闇に包まれて見えなかった桜島のシルエットがうっすらと見え始めた。空がだんだん白んできた。

 長渕が、オールナイトコンサートをやろうと思った理由の1つは「みんなで一緒に日の出を見たい」と思ったからだ。3月に鹿児島でインタビューをした際に「一緒に歌って、朝を迎えた時、みんなの心に何かが生まれるはずだと思うんです」と話していた。聞いた時、ピンとこなかった。いざ、体験してみると、その意味が、少し理解できた。「1日1日を大切にしよう」。普段では考えてもいないような言葉が、頭の中に浮かんだ。

 長渕は3年前、音楽が消耗品になっていることに気が付いて、ショックを受けたという。アルバム制作の構想を練るためと、趣味の詩画を描くために福島県を訪れた時、のどかな田園風景が広がる美しい景色の中に奇妙なものを発見した。田んぼのあちこちに棒の上に取り付けられた丸い円盤がキラキラ光っていた。カラスよけのため、かかしの代わりに、CDのディスクを使っていた。

 「悲しくなるよね」。長渕はつぶやいた。子供のころからドーナツ盤をすり切れるほど聴いていた。音楽は宝物だった。時代は代わりCDになったが、自分の精いっぱいを吹き込むことには変わりない。「いつから音楽が消耗品になっちまったんだ」。太陽の光を反射して、きれいに光るCDを見つめながら怒りを感じたという。

 CMなど、企業とのタイアップを巧みに利用した曲がヒットチャートをにぎわすことが多い音楽界の中、長渕は、それを拒み続けている。タイアップという行為が「悪」だとは思わないが、長渕にとってそれはきっと「消耗品」の象徴に見えるのだろう。そうした思いをぶつけたのが、今回のコンサートだった。

 会場は、とにかく利便性の悪い場所だった。フェリーしか交通手段がない。港から会場まで30分以上歩く。たどり着けば、造成したとはいえ、溶岩と火山灰の集積した荒れ地。そこにステージを建て、7万5000人を集めた。

 「信じられないことをやってみせるのが僕らの役割なんです。そんな驚きを胸の中に刻み込んでほしい。音楽は、消耗品なんかじゃない。人の心に何かを生み出し、心に刻み込まれるものなんです」。

 そうした信念を共有して欲しいから、日の出を一緒に見ることが思い浮かんだのだろう。私も、日が昇り、日が沈むという、ごく当たり前のことに目も触れず毎日を「消耗」していたことに気づいた。「1日」の積み重ねが、生きるということ。簡単に消耗しないようにしよう。噴煙立ちこめる桜島のてっぺんから照らす太陽の光を浴びながら、確かにすがすがしい気持ちになった。

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   column@nikkansports.co.jp
松田秀彦(まつだ・ひでひこ)
 文化社会部。94年入社。編集局写真部を経て96年春から文化社会部。映画、音楽を中心に取材。東京都生まれ、千葉県育ち。35歳。
松田記者の写真

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