小泉首相動揺、皇室典範改正論議に影響
紀子さまの第3子懐妊で、小泉純一郎首相(64)が通常国会での成立を目指す皇室典範改正問題に影響を与えるのは、避けられない見通しになった。小泉首相は7日午後、3月中にも国会に法案を提出、今国会中の成立を目指す方針を変えないと強調したが、首相に近い自民党幹部は同日夜「常識的には(出産を)待つしかない」と述べ、改正案提出先送りの可能性が高いとの見通しを明らかにした。
小泉首相に、紀子さま懐妊の情報が届いたのは衆院予算委員会中の午後2時すぎ。秘書官が歩み寄り、手にしたメモの中身を耳打ちした。首相は一瞬「えっ」と驚き、民主党議員の質問も上の空。「総理、総理」と呼び掛けられるほど動揺していた。
首相が今国会成立を目指す皇室典範改正案。民主党の岡田克也前代表が「今国会中の成立というのは違和感がある」と指摘した。これに対し、首相は「別に急いでいるのではない。愛子さまの天皇即位を認めないのが現行制度。愛子さまはもうじき学校に入る年ごろ(今春幼稚園入園)。将来、自分が天皇ではないということで教育を受けるのと、いずれ天皇にならなくてはならないという自覚のもとで養育されるのでは、大変大きな問題がある」と説明した。
長子優先の理由にも触れ「長子が女子で、何年後に男子が生まれるのを待つとなると、生まれるかどうか分からないこともある。男子が優先的に皇位につくことになると、それまでの間、養育の面でも長子の女子はどう過ごせばいいのか。長子(優先)で国民に納得してもらえるのではないか」と述べた。
委員会後、首相は記者団に「3月上旬にも国会に法案を提出、成立を目指すのか」と問われ「そうだ」と述べ重ねて意欲を示した。
しかし、改正慎重派議員の間では反発の声が強まっている。改正に慎重な保守系議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」の下村博文事務局長は「もうしばらく封印した方がいい。皇室の中でもいろいろな意見があり、それを無視して国会でどんどん進めるのは失礼だ」と先送りを求めた。
首相は強行突破を図る方針を崩していないが、政府筋は7日夕「環境は変わった」と話した。先送り論の広がりに首相に近い自民党幹部は同夜「決めるのは首相だ」としながらも「常識的には(出産を)待つしかない」と述べ、改正案の今国会提出は見送りの可能性が高いとの見方を示した。
[2006/2/8/09:06 紙面から]
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