元祖「爆弾男」楢崎氏がメール疑惑を一喝
元祖「国会の爆弾男」楢崎弥之助元衆院議員(85)が21日、福岡市内で日刊スポーツの取材に応じ、「新・爆弾男」になりそびれた永田寿康衆院議員(36)と民主党を一喝した。「この種の問題の攻め方に慣れてない。全然話にならん」「今ある情報だけで判断すれば負けだ」と、脇の甘さを厳しくただした。「万が一の場合、議員を辞めるつもりでやっていた」という楢崎氏。爆弾男ならではの覚悟を永田氏はどこまで持っていたのか。
16日の衆院予算委員会で、永田氏が自民党武部勤幹事長(64)の二男への3000万円振り込み指示疑惑を指摘して以降、楢崎氏はテレビにくぎ付けだ。「本当なら大したもんだと思った。経験上、国会で政権追及するならそれだけ裏を取っていると思うから。それが常識」。しかし、翌17日、永田氏の発言が心もとなくなった。「もしかしたら、やばいのかな」と感じたという。
「極言すれば、永田君も民主党もこの種の問題の攻め方に慣れてない。全然話にならない」と、元祖爆弾男は手厳しい。楢崎氏自身、今回と似た経験がある。71〜72年にかけて、沖縄返還をめぐる日米の裏取引を記した「沖縄密約公電問題」で、政府を追及した。外務省公電のコピーを入手した横路孝弘氏(現衆院副議長)に「現物を見せろ」と迫る政府。楢崎氏は「入手の経路をはっきりできないなら出すべきではない」と言った。結果的に本物だったが細心の注意を払った。
「情報が来たから、すぐに国会で取り上げることはできない。足で歩いて確かめる。半年かかるものもある」。公電問題ではプロジェクトチームを作り、寝る時間もなかった。永田氏はメール入手時期を「(発表の)10日前」としていた。「永田君も民主党も、苦労が足らんのじゃないか」。
「最後の勝負どころは、情報源が本物かどうか証拠を出してくれるかどうか。今、情報源が表に出てこないでしょ。結論は出ていないが今出ている情報で判断すれば『負け』です」。指示メールには黒塗り部分が多数あった。「最初から隠さなきゃならないものがある場合は、国会ではものにできない」と指摘する。「取り上げて欲しい」と舞い込む情報の中に「ガセネタはたっくさんあった」というが「私は不確実な情報は1つも出さなかった。いざとなれば、議員辞める覚悟だった。当たり前ですよ。国会の権威を軽く見ちゃいけません」。
永田氏が初当選直後、食事をしたことがある。永田氏は「楢崎さんにあこがれています」と、言ったという。「今回もし相談を受けていたら、情報提供者が表に出られないならやるべきではない、と止めていた。持つのが悪いとは言わないが功名心で焦ったのかなあ」。孫ほど年の離れた永田氏の今後を、楢崎氏は「心配だな」とつぶやいた。
[2006/2/22/07:51 紙面から]
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