USEN宇野社長ポンと100億円
有線放送最大手USENの宇野康秀社長(42)が16日、都内で会見し、フジテレビが持つライブドア株全部を買い取ることを発表した。発行済み株式の約12・75%を1株71円、総額約95億円で取得。すべて自分の「ポケットマネー」で支払うという。無料動画配信に力を注いでる宇野氏が、ライブドアのポータル(玄関)サイトを手に入れ、IT勢力図トップに立つべく大勝負に出た。瀕死(ひんし)のライブドア救世主となれるか。
会見した宇野社長は「ライブドアと業務提携を結ぶことでシナジー(相乗)効果が図れ、両社のプラスになると期待している。個人での株取得だが、USENとしても再建に協力していきたい」と話した。
宇野氏は個人の「ポケットマネー」から約94億9500万円を払い、フジテレビが持つライブドア発行済み株式の約12・75%(約1億3300万株)を買い取る。個人での取得については「USENでの取得が自然だが、USENのリスクマネジメントとして、いったん個人で引き受けた方がいいと考えた」と説明。ライブドアは今後株主らから巨額賠償訴訟を起こされる見込みで、USEN本体への波及を回避するための手段だった。
1月23日の前社長堀江貴文被告(33)の逮捕後、支援先を模索するライブドア社内から「USEN」の名前が出て、平松庚三社長(60)が宇野氏に持ち掛けた。その後、宇野氏側がフジテレビ側と交渉を続けた。15日夕、株取得交渉が最終合意したという。
宇野氏は今後、ライブドア株17・2%を持つ堀江被告に次ぐ、第2の大株主となる。IT関連でトップを目指す宇野氏は現在、ブロードバンド事業のほか、会員数約790万人に達している無料動画配信事業「GyaO(ギャオ)」に力を入れている。約1570万人の利用者があるライブドアのポータル(玄関)サイトやブログを手に入れることで、これらの事業を一気に拡大することが可能となる。
関係者によると、ライブドア平松社長は16日午前から、東京・六本木ヒルズの本社内で興奮気味だった。フロア内を歩き回り「イエーイ!」「サイコーです」と奇声を上げ「宇野さんのことはよく存じている。(USENは)楽しそうな会社」と周囲に話した。
ライブドア大株主の堀江被告には、今月初めに会社側から「提携話がほぼ固まり、近く公表予定」と伝えられ、堀江被告は了承。16日までにUSEN支援を聞いた堀江被告は「大変良かった。うまくいけばいいですね」と話したという。
宇野氏は堀江被告と半年に1回くらい会う関係で、同じ会社の役員を務めていたことも。ただ逮捕前、堀江被告が宇野氏に「ライブドアを頼む」と相談したと一部で報道された点については、宇野氏は「堀江氏から頼まれたことはありません。(ライブドアの)経営という意味では堀江氏と断絶していると認識している」と否定した。
[2006/3/17/12:24 紙面から]
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