アマチュアにとって、難しいショットに「前(つま先)上がり」「前(つま先)下がり」のショットがあります。トップしたりダフったり、また左右とんでもないとこへ行ってしまったり…。深堀圭一郎プロ(35=フォーラムエンジニアリング)は「体とボールとの距離を一定に保つことがポイント」と日本一のテクニックを伝授してくれました。これで傾斜地からのショットが怖くなくなります。
【第16回】「前下がり」「前上がり」ショットを克服
◆スタンスは若干広めで
前上がり、前下がりのショットに共通する基本は「体とボールの距離を一定に保つ」ということです。この基本にいくつかの要素を加えますが、それさえ守ってもらえれば、もう怖くありません。
(左)前上がりは下半身を棒立ちのイメージで
(中)ボールは左に行きやすいので、ターゲットは右に置く (右)7割程度のイメージでスイング
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まず、前上がりから説明しましょう。傾斜の度合いにもよりますが、前上がりイコール「自分のすねからひざの高さぐらいに置かれたボールを打つ」ことになります。当然、ボールまでの距離が短くなるわけですから、第一にクラブを短く持ちましょう。次にターゲットです。クラブの構造上、傾斜の度合いが強くなればなるほど、ボールは左へ行きやすく(フックしやすく)なります。ですから、最初からターゲットは通常より右に置きます。番手や傾斜によって状況は異なりますが、グリーンセンターにピンが切ってあったとしたら、グリーン右サイドいっぱいを狙うようなイメージです。
構えですが、通常のショットはヒザを軽く曲げ、余裕を持たせるのですが、前上がりの状況では下半身を「棒立ち」状態にします。ガッチリと固定するところまではいきませんが、ベタ足にして「上体だけ」で行うスイングに下半身がつられて動く程度。下半身は使いません。極端に言えば「手打ち」でOK。下半身を使わないわけだから体の回転も押さえられ、トップ、フォローも小さくなるはずです。通常の「7割程度」のイメージでスイングしましょう。力を入れて飛ばそうなんて思ったら、まともに当たりません。クラブの番手は最低でも1つは大きいもの選び、打ち急がずゆっくりと、体とボールとの距離を一定に保つことを意識してスイングしましょう。
左から@前下がりはオープンスタンスに構え、Aヒザを深く曲げ、Bターゲットを左に置き、C7割程度のイメージで振る
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次に前下がりですが、前上がりとは逆に体とボールとの距離が遠くなります。ひざを通常よりも深く曲げ、重心を落とすことによって体とボールとの距離を調節します。両ひざがスプリングのような役目を果たすイメージです。まず、クラブを持たずボールを打つつもりで素振りをします。何回か繰り返せば、一番安定する体勢が分かってくるはずです。前上がりと違ってボールは右に行きやすく(スライスしやすく)なるので、ターゲットは通常より左に置きます。
スイングは通常より小さくなります。ひざを深く曲げるため下半身の動きがブロックされるからです。スクエアにスタンスをとると体が抜けなくなり、スイングがフォローの途中で止まってしまい、スイングスピードも出ません。ですから体を抜けやすくするためにオープンスタンスに構えてください。前上がりと同様、7割程度のスイングイメージでゆっくりと打ちましょう。ひざが伸びたり、体重が前にかかることがないよう、注意しましょう。
前上がり前下がりに共通しますが、ボールは通常よりもやや内側(右側)に置いてください。あまり左側に置くと体重移動がない分「ボールを追っかける」ようなり、ミスショットにつながるので気を付けてください。
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◆深堀圭一郎(ふかぼり・けいいちろう) 1968年(昭和43年)10月9日、東京都生まれ。11歳からゴルフを始め、東京・明大中野高−明大を経て、92年プロテストに一発合格。96年に初シードを獲得し、以降7年連続で賞金シードを保持している。97年にはKSBオープンでツアー初優勝を飾り、03年日本オープンで国内メジャー初V。ツアー通算で6勝を挙げている。独身で甘いマスクから女性ファンも多い。173センチ、68キロ。血液型はA。フォーラム エンジニアリング所属。
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