2005/03/31
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ピンチの時こそ「理論」思い出し、実践して欲しい
― 最終回 ―
いかにフィニッシュを決めるかを考えてスイングする
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1年間続けてきた僕のレッスンも今回で最終回です。さまざまなテーマと練習法(ドリル)を紹介してきましたが、もう1度、どうすればゴルフがうまくなるのか? 今の実力を把握し、何をするべきかを確認しましょう。
これは初回にも伝えたことですが、スライスばかり打っていては、ゴルフは面白くありません。もっとも現実的に、アマゴルファーの大半が、スライスに悩んでいます。スライスを恐れて、ボールにクラブを当てにいくから、スイング軌道が不自然になり、フィニッシュも決まらず、余計にボールをこするのです。
解決策の第1弾は、ゴルフボールをテニスボールに置き換えることです。イメージの問題ですが、大きなボールを打つ時は気持ちが楽になります。イメージができない人は、実際にテニスボールを打つ練習法も有効です。気持ちの焦りがスイングを乱す。逆に言うなら、リラックスできれば、ゆったりとしたいいスイングができるのです。
100以上をたたく人は、まずこの課題をクリアしてください。ボールを当てにいくのではなく、テニスボールを打つ感覚で振って、フィニッシュを取る。インパクトのことよりも、フィニッシュをいかに決めるかを考えてスイングする。もちろん、ヘッドアップ、体の早い開きは厳禁で、そのためにクローズドスタンス、ストロンググリップなども紹介してきました。しかし最も重要なのはフィニッシュ。フィニッシュが決まるスイングとはテークバックからインパクト、フォロースルーときれいに流れているものです。
アドレスの前にクラブを立ててリラックスする
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ただ、肩に力が入っていては全身が硬くなります。リラックス法もさまざまですが、僕が勧めるのはクラブを立ててグリップを胸の前に置くことです。アドレスの前にこの動作を入れた上で、両肩を脱力してみてください。スッと肩から力が抜けたら、サッとアドレスを取り、体が固まらないように間を置かずにスイングするのです。
90を切り、85ぐらいのスコアを出せる人は、小技の練習に時間をかけましょう。ショートゲームの権威として知られるデーブ・ペルツ氏は「1ラウンドのうち67%がアプローチ、パット。70%が100ヤード以内のショットだ」と説いています。確かにプロや上級者は練習の多くをパット、アプローチに費やします。グリーンを外した時やピンの遠くにオンした時、いかにパーを取るか、チャンスをどうものにするかを考えているからです。
どんなゴルファーにも共通するスコアアップのポイントは、プレーの前に恐怖心を持たないことです。プロでもパットやアプローチイップスにかかりますが、それは「これを外したらどうしよう。アプローチでトップしたら」と、マイナス思考が頭を支配するから、体もそう動いてしまうのです。プロは1打に何百万円もの賞金が懸かることがあります。でもアマチュアなら、同伴プレーヤーの前でちょっと恥ずかしい思いをするぐらい。そう、考えれば気楽になれるはずです。
もう1つ。この連載を通じて僕なりの理論を説明してきたのですが、これを練習だけでなく、ラウンドでも実践してほしいと思います。ピンチの時ほど、それに対応するための理論を思い出してプレーに臨んでほしい。結果を考えず、目の前のボールに集中する。そうして上達を自覚できれば、もっとゴルフは楽しくなります。頑張ってください。
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◆内藤雄士(ないとう・ゆうじ)
1969年(昭和44年)9月18日、東京生まれ。日大ゴルフ部では丸山茂樹らと同期。米国にゴルフ留学し、サンディエゴアカデミーなどで最新のスイング理論を学んだ。98年から日本ツアーでプロコーチでの活動をスタート。01年に丸山と契約し、日本人で初めて米ツアー(USPGA)プロコーチとして、マスターズ、全米オープン、全米プロのメジャー大会に参加した。(株)ラーニングゴルフクラブ(杉並区高井戸)の代表取締役で、2月から新宿駅ビル「マイシティー」屋上で開校した「クラブ23ゴルフスクール」を丸山と主宰している。
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