F1日本GP過去の歴史

【2003年10月13日付本紙より】

琢磨6位!緊急参戦生かした2年連続入賞

 ◇決勝◇12日◇三重・鈴鹿サーキット(1周5・807キロ)◇参加20台、完走16台◇曇り◇観衆15万5000人

 フル参戦の来季、念願の表彰台を期待させる走りだった。佐藤琢磨(26=BARホンダ)が鈴鹿で2年連続入賞を果たした。予選13位から順位を上げ、6位。ジョーダン所属だった昨年の5位に続きポイントを獲得した。

 F1レースに戻った佐藤が、地元コースの鈴鹿で堂々とチェッカーフラッグを受けた。1年のブランクを感じさせなかった。予選13位も、開始早々にウィルソンを追い抜く。シューマッハー兄弟に後尾に張り付かれても譲らない。13周目には同僚バトンに続き、3位も走った。レース後半は入賞圏内をキープ。40周目に6位に上がると、そのままゴールに飛び込んだ。

 昨年5位の感動入賞の再現だった。佐藤はマシンを降りると大歓声の観客に向かい思いっきり手を振った。「レースが楽しかった。昨年以上に、すごく大きな入賞です。やっぱりレースはいい」。ビルヌーブの欠場で突然、めぐってきた復帰戦。チームは製造者部門5位がかかっていた。1点でも多くポイントを稼ぐという重圧もあった。だが、周囲の心配をよそに、落ち着いていた。

 テストドライバーを務めてきた今季のもどかしさをすべて吐き出した。「テストはバトルがなくて楽しくなかったから…」。その言葉通りにバトルも演じた。7周目にM・シューマッハーと接触。相手がフロントウイングを破損し後退したのも気づいていなかった。「必要以上にブロックする気がなかった。何も知らず、相手に(総合優勝)おめでとうって声をかけて、初めて知った」。予想された雨も降らず「天候にも助けられた」と笑顔で感謝した。

 バトン(4位)とともにチーム今季初のダブル入賞を果たした。ホンダの中本ディレクターは「予想以上の走り。タイヤの状態などペース配分がしっかりできていた」と高く評価。来季は再び、正ドライバーとしてフル参戦する。「今回はボーナスのようなもの。来年に生かしたい」。11月にはテスト走行も始まる。鈴鹿での2年連続の入賞は来年にしっかりつながる。【佐藤智徳】

 ◆佐藤琢磨(さとう・たくま) 1977年(昭和52年)1月28日、東京生まれ。早大進学後、自転車競技からカートに転向。97年、鈴鹿レーシングスクールを首席で卒業。98年に渡英し、01年の英国F3で日本人初の総合優勝を果たした。昨季ジョーダン・ホンダからF1フル参戦。今季はBARホンダのテストドライバーを務めた。

 (写真=6位でフィニッシュした佐藤は、スタンドのファンの声援に両手を上げて応えていた=撮影・加藤哉)


バトン4位、ホンダ今季初のダブル入賞

 ホンダが今季初のダブル入賞でコンストラクターズ5位を獲得した。だが第3期参戦4年目の今季は表彰台なし。第2期までの輝かしい実績と比べれば、寂しい成績が続く。中本ディレクターはマシンの信頼性など反省点をいくつか上げて「マシンの性能からすれば、目標はもっと高いところにあった。最終戦で5位争いですからね」と苦笑いした。来季はバトン、佐藤の若手ドライバーで臨む。今回のダブル入賞がホンダ復活への光明となりそうだ。


シューV4!史上最多6度目総合王者

 ミハエル・シューマッハー(フェラーリ)が4年連続、史上最多6度目の年間総合王者に輝いた。また、所属のフェラーリは5年連続13度目のコンストラクターズ(製造者)部門優勝を果たした。

 M・シューマッハーは、最終戦の結果こそ8位入賞と物足りなかったが、14番グリッドのスタートから巻き返した貫録のレース。4年連続の総合Vで、通算6度はフアン・マヌエル・ファンジオ(アルゼンチン)の5度を抜き歴代単独トップの記録となった。8人もの優勝者を出した混戦シーズンだったが、34歳が黄金時代を築いて幕を閉じた。

 「厳しい1年で、このレースもタフだった。素晴らしいマシンを提供してくれた仲間に感謝している。でも今は、まだタイトルの実感はないんだ」。8位入賞さえ果たせば自力での年間Vが決まる最終戦だった。7周目で佐藤のマシンに背後からぶつけ、フロントウイングを破損するアクシデントも簡単に乗り越えた。同僚バリチェロの勝利もあり、コンストラクターズ(製造者)部門と合わせての2冠王はフェラーリで04年も突っ走る。

 ◆ミハエル・シューマッハー 1969年1月3日、ドイツ生まれ。国内のカートを経て92年、ベネトンからF1フル参戦。96年にフェラーリに移った。総合優勝6回、通算70勝はともに史上最多。ラルフ(ウィリアムズ)は実弟。


バリチェロがポール・ツー・ウィン

 ルーベンス・バリチェロ(フェラーリ)がポール・ツー・ウインで今季2勝目、通算7勝目を挙げ、フェラーリのコンストラクターズ(製造者)部門5連覇に貢献した。危なげないレースだったが「集中力維持が大変だった。チームに最高の結果をもたらせ、自分の勝利以上にうれしい」と喜んだ。製造者5連覇はマクラーレンが88年からつくった4連覇を抜く、連続優勝記録。「来季も安定して力を発揮させたい」と、M・シューマッハーと大車輪の活躍を誓っていた。


トヨタ8位…課題残し2年目終える

 トヨタが課題を残してF1参戦2年目のシーズンを終えた。2列目に並んでの決勝スタートも、ダ・マッタが7位、パニスが10位と順位を落とした。張社長も観戦していたが目標だった製造者部門5位をライバルのBARホンダに奪われ、8位で終了。ダ・マッタが「2回の給油戦略で順位を落として残念だった」と言えば、高橋ゼネラルマネジャー(GM)は「ラップタイムが伸びなかった」と唇をかんだ。

 1年目の昨季は開発スピードがシーズン中に落ちていったが、今季は逆に第10戦以降の計7レースで2人は10回の完走を果たすなどデータ採取も順調だった。来季は「予選のパフォーマンスをいかに決勝に出していくか」と高橋GM。すでにドイツ・ケルンでマシンの開発作業に入っており、首脳陣は週明けに集結。3年目への本格スタートを切る。


柔道田村がトヨタを応援

 9月の世界柔道女子48キロ級で6連覇を達成した田村亮子(28)が自身も所属するトヨタ自動車の応援、さらにフジテレビのゲスト出演のため鈴鹿を初訪問した。レーシングスーツに着替え、試合前のダ・マッタと握手。「テレビでは何度も見てましたが、エンジンやその振動音は超ド迫力でした。私はトヨタの社員なので、必死で応援させてもらいました」。12月20日にはオリックス谷との挙式を控えているが、充実した表情でレース観戦していた。


今年も15万5000人!最多タイ記録

 この日の観衆15万5000人は94、02年と並ぶ、決勝の観客動員最多タイ記録。3日間合計の32万9000人は史上6番目となった。


順位 車番 選手名 国籍 チーム タイム
1 2 バリチェロ ブラジル フェラーリ 1時間25分11秒743
2 6 ライコネン フィンランド マクラーレン・メルセデス 1時間25分22秒828
3 5 クルサード 英国 マクラーレン・メルセデス 1時間25分23秒357
4 17 バトン 英国 BARホンダ 1時間25分44秒849
5 7 トゥルーリ イタリア ルノー 1時間25分46秒012
6 16 佐藤琢磨 日本 BARホンダ 1時間26分03秒435
7 21 ダ・マッタ ブラジル トヨタ 1時間26分08秒537
8 1 M・シューマッハー ドイツ フェラーリ 1時間26分11秒230
9 9 ハイドフェルト ドイツ ザウバー・ペトロナス 1時間26分11秒902
10 20 パニス フランス トヨタ 1時間26分13秒587
11 14 ウェバー 豪州 ジャガー・コスワース 1時間26分22秒748
12 4 R・シューマッハー ドイツ ウィリアムズBMW 1周遅れ
13 15 ウィルソン 英国 ジャガー・コスワース 1周遅れ
14 12 ファーマン 英国 ジョーダン・フォード 2周遅れ
15 19 フェルスタッペン オランダ ミナルディ・コスワース 2周遅れ
16 18 キエーサ デンマーク ミナルディ・コスワース 3周遅れ
  11 フィジケラ イタリア ジョーダン・フォード 34周目リタイア
  8 アロンソ スペイン ルノー 18周目リタイア
  10 フレンツェン ドイツ ザウバー・ペトロナス 10周目リタイア
  3 モントーヤ コロンビア ウィリアムズBMW 10周目リタイア
【注】1位の平均時速は216.611キロ
最速ラップは、R・シューマッハーの1分33秒408(43周目)


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