モーグル男子エースの堀島行真(24=トヨタ自動車)が、最高の結果で北京オリンピック(五輪)へ弾みをつけた。

五輪前最後の大会で、強敵ミカエル・キングズベリー(カナダ)を上回る84・04点で今季3勝目。日本人歴代最多のW杯通算11勝目を挙げた。女子のエース川村あんり(17=東京・日体大桜華高)も今季3勝目を挙げた。日本は男女とも北京五輪出場の4枠を獲得し、男子は堀島、杉本幸祐、原大智、松田颯、女子は川村、冨高日向子、住吉輝紗良、星野純子が出場を確実にした。

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02年ソルトレークシティー五輪でも使用されたコースで、北京五輪前の最後の実戦を華麗に締めくくった。滑走後に現地のファンからひときわ大きな歓声を浴びた堀島は、右手を突き上げて充実の表情を浮かべた。ここまで4連勝中だった強敵キングズベリーを撃破し、今季W杯3勝目をマーク。上村愛子を抜いて日本歴代単独最多のW杯通算11勝目となり、「これから先も優勝回数を重ねていきたい」。金字塔に胸を張った。

決勝1回目を堂々のトップ通過。6人による2回目は、第1エアで高さ十分のフルツイスト(伸身後方1回宙返り1回ひねり)を鮮やかに決めた。第2エアも高さのあるコーク1080(軸をずらした3回転)を繰り出した。空中での技が評価されるエアで断然トップの17・57点を記録。さらにタイムもキングズベリーに1・07点差をつけ、高さと速さで強敵を上回った。

世界選手権王者として臨んだ平昌五輪では金メダル候補と期待されたが、決勝2回目で転倒して11位。「プレッシャーを自分にかけてしまい、多くのところで楽しさが半減していた」。その反省を生かして競技に取り組む意識を変え、まずは楽しむことを重視するようになった。昨年からはフィギュアスケート、スノーボード、水泳の飛び込みにも挑戦。他競技にも触れあいながら、体重移動や体の細やかな感覚などを磨いてきた。

今季9戦はすべて表彰台に上がるなど、好調を維持する。北京五輪まであと約半月。4年前から進化した姿を北京の地で示す。

 

▽堀島行真アラカルト

◆出身 1997年(平9)12月11日、岐阜県池田町生まれ。両親の影響で1歳からスキーを始める。本格的にモーグルに取り組むようになったのは小学4年時から

◆所属 トヨタ自動車

◆経歴 岐阜一高-中京大。17年世界選手権ではモーグルとデュアルモーグルの2冠を達成。金メダルが期待された18年平昌五輪では決勝で転倒して11位

◆特技 けん玉。大皿か小皿の縁とけん先の間に玉を乗せる「うぐいす」などの難しい技もお手の物

◆性格 まじめで誠実

◆血液型 A型

◆身長 身長170センチ

◆モーグル 規則的なコブが配置された急斜面コースを滑走する。途中に2つのジャンプ台があり、ターン(滑走)、エア(空中技)、スピード(滑走の速さ)の3点で争う。ポイントの割合はターン60%、エア20%、スピード20%で採点。冬季五輪では88年カルガリー大会で公開競技、92年アルベールビル大会から正式競技となった。選手2人が隣り合って同時に滑走し、1対1で争うデュアルモーグルもあるが、五輪では「モーグル」のみ採用。北京五輪では2月3日から男女予選が始まり、決勝は男子が5日、女子は6日。