勝負はここから-。北京五輪第9日は12日、国家スピードスケート館でスピードスケート女子団体追い抜き1回戦が行われ、連覇を狙う日本は幕別町出身の高木菜那(29=日本電産サンキョー)、美帆(27=日体大職)姉妹を中心に、2分53秒61の五輪レコードで1位となり準決勝進出を決めた。

15日の同準決勝(対ROC)と決勝のほか、高木美が出場する17日の1000メートルや、高木菜が連覇を狙う19日のマススタートなど、メダル有力種目が控える。姉妹金メダルへ、帯広南商時代の恩師が、幼少期から参拝する札内神社の宮司が、オンライン応援を続ける地元幕別町が、熱いエールを送った。

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大舞台で奮戦する高木姉妹を遠く離れた北海道から後押しする。帯広南商時代の恩師、東出俊一氏(65)は、ここまでのレースをテレビ観戦。「(高木美)の3000も1500も悪くない。ベストに近い。最後まで、しっかり力を出してくれたら。特に1000メートルはタイム的にも金メダルのチャンスはある。団体追い抜きも菜那のマススタートも可能性はある。応援している」とエールを送った。

高木美は7日の1500メートルで銀メダル。勝利への強い気持ちを画面から、ひしひしと感じ取ったという。東出氏は「あの必死の形相に私も勇気づけられた」と振り返る。平昌で果たせなかった個人金メダルへの挑戦。見守り続けてきたからこそ気付いたこともある。「勝ちたい思いが硬さになっているのかもしれない。強い自分に自信を持ち、少し余裕を持って滑ってもいいのかな。力は持っているのだから」と話した。

高木ファミリーが毎年参拝する幕別町・札内神社の岩崎寿宣宮司(57)も、巻き返しに期待している。4年前の平昌大会前には3回必勝祈願に訪れ、今回も五輪シーズン直前の昨秋、姉妹でおはらいに訪れた。同神社では高木美の1500メートル銀メダル獲得後、社務所に祝福の垂れ幕を掲示。「金メダルは取れていないですが、2人とも、このぐらいで心が折れる子じゃない。まだまだ、ここから」と熱いメッセージを送った。

地元幕別町は7日の1500メートルで「ZOOM」応援会を開催。北海道だけでなく東京、広島、岡山など全国各地から約100人が参加した。15日の団体追い抜き準決勝、決勝、17日1000メートルでも実施する。参加アカウント配布は締め切ったが、割り箸に巻いて旗にできるもの、うちわに張るものと2タイプの自宅応援用PDFデータを町の公式サイトにアップ。自由にプリントアウトして使うことができる。同町教育委員会の石田晋一氏(54)は「最後に姉妹が笑顔で終わってくれたら。それが一番」。ハッピーエンドを祈り、さまざまな形で、応援を続けていく。【永野高輔】