大井競馬場で誘導馬の調教・管理・運営等の業務会社を経営しています。大学(法大)では3年ほど馬術部に所属していましたが、馬術選手ではなかなか食べていけない(笑い)。西武スポーツ(西武百貨店)に入り、馬具の販売や外国産馬の買い付け、乗馬教室での指導に携わってきました。

元五輪選手(76年モントリオール、84年ロサンゼルス、04年アテネ馬術代表)の小畑隆一氏とは学生時代からの友人です。今回の地元五輪で馬のこと、馬術競技のことを、大勢の人に知ってほしい。ラグビーワールドカップ(W杯)のように。馬術競技って、一般の人にはほとんどなじみがありませんが、とても奥が深くて面白いものですよ。

やるには、お金のかかるスポーツです。が、見ることはできます。障害飛越は馬が跳ぶ姿だけでも美しい。障害のバーを落下させると減点となる競技(タイムによる減点もある)で、バーを越えるジャンプ力は見ものです。「馬の賢さ」も分かります。バーを落とさないよう前脚を器用に折り畳むと同時に、本能で「脚が当たるかも」と感じると、バーに触れないように空中で腰を横に振って後ろ脚をひねるんです。

そして選手のコース誘導技術。馬がどう動いてくれるか。それはふだんの「馬とのふれあい方」に関わってきます。長い時間をかけて馬と向き合い、信頼感を築く。「人馬一体」です。単に「上手に跳んでいるな」と思うだけでなく、その裏でどれだけ「馬と寄りそってきたか」を想像してほしい。現場で競技出場前の準備運動なども見られる場合は、そこで選手と馬がどんな風に心を通わせようと努めているかをチェックしてみてください。

パラリンピックにも馬術競技があります。人と馬の絆の深さをより感じられます。猛暑の五輪です。暑さに弱い馬たちに対し、どのように暑さ対策をしているかも関心があります。仕事の都合さえつけば、見に行きたいんですがねえ。(289人目)

【メモ】五輪馬術競技の日本の金メダルは1932年(昭7)ロサンゼルス大会・西竹一(陸軍将校)ただひとり。欧米勢が圧倒的に優勢で、坂口さんはその理由を「騎馬民族と農耕民族の違いかな」と言った。