昨年9月の全日本選手権で初優勝することができました。種目史上最年少の17歳。狙っていました。それまで大学1年生が最年少、と大会記録を見て分かっていたので。決勝では世界ランキング日本勢最上位(44位)の吉田健人選手に15-7。普段は負けることも多い日本代表の先輩ですが、持ち味の攻撃がはまりました。前年、人生最悪スコアの2-15で完敗した島村智博選手に準々決勝で勝てたことも自信になりました。

名前は真旺(まお)と読みます。旺は旺盛な子に、と。由来通り、6歳の時に鳥羽フェンシングクラブ(三重)でフルーレを始めてからも、父親が漁師なので巻き網漁船に乗ったり、12歳までバイオリンも弾いたり。それでバランス感覚やリズムが身についたのか分かりませんが、何でも全力でやらせてもらえました。

14歳の時に(サーブルの有望選手を探す)JOCエリートアカデミーの適性テストを受けることになって合格。「突き」だけでなく「切り」もあって展開が激しいサーブルは、繊細なフルーレより大ざっぱな…いや、ダイナミックな動きが自分に合っていました。皇学館中3年で初の日本一になり、高校から埼玉へ。ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)に近い星槎国際川口を選びました。校舎にピスト(競技コート)があり、練習に集中できる教育課程のおかげで2年時にインターハイも優勝。春からは法大に進学します。引き続き(19年インハイ3位の)兄の遥斗(中大2年)と一緒に住みながら競技に全てを懸けます。

新型コロナ禍の中、昨春の緊急事態宣言で2カ月以上練習できなかったり、高校最後の全国総体が中止になったり、心を病みそうな時期もありましたが、腕の振りや歩幅が大きすぎる雑さ、弱みを見直す日々で前向きになれました。高校から始めた筋トレもベンチプレス100キロ×3回(既に代表チームで2位)と向上し、全日本に生きました。

まず昨年4月の世界ジュニア選手権で優勝したかったんですが、コロナで中止に。でも新たな夢が膨らみました。21歳で迎える24年パリ・オリンピック(五輪)でのメダル獲得が目標でしたが、東京五輪が延期になったことで、開催国枠に推薦で選ばれる可能性が出てきたんです。3月10日からハンガリーで行われるワールドカップ(W杯)が最終選考会。そこで結果を出せば-。代表最年少でも遠慮なくチャンスをつかみに行きます。(334人目)