男子走り幅跳び(切断などT42)のリオデジャネイロ・パラリンピック銀メダリスト山本篤(35=スズキ浜松AC)が、3連覇を目指す世界選手権(14日開幕、ロンドン)へ向けた最終調整を終えた。

 3回目にこの日ベストの6メートル11。6月の日本選手権でマークした6メートル38は下回ったものの、「(小雨の)コンディションを考えればいい。わずかにファウルだった5回目の感触もよかった。6メートル20はいっていたと思うし」と表情は明るかった。

 テーマは踏み切りだった。日本選手権の跳躍をビデオで検証した結果、左の義足で踏み切る1歩前の右足の位置に注目。「無意識でいくのか、合わせていくのか」が曖昧だった点を反省し、調整を加えた。天候、体調などを考慮した上で助走距離を通常より短めにするなどして、踏み切りの安定感にはある程度の手応えを得た様子。体が右に傾き、体が左に流れる跳躍フォームも「今は気にならなくなった」という。

 リオで金メダルを奪われたハインリヒ・ポポフ(ドイツ)が世界選手権限りでの引退を表明していたが、最近になって状況が変わった。山本自身が得た情報によると世界選手権は欠場し、来年の欧州選手権での引退を考えているという。リオの雪辱に燃えていた山本も「こればかりは僕にもどうしようもない」と苦笑いだった。

 「あとは自分のコンディションを上げていくだけです。今は50%。体調とともに助走スピードが上がっていけば、勝てる跳躍ができる」と言葉にも力が入った。自らが想定する優勝記録は6メートル50。記録よりも勝負に徹して3連覇を達成する。【小堀泰男】