世界パラ陸上の女子走り幅跳び(視覚障害T11)で銀メダルを獲得した高田千明(32=ほけんの窓口)が23日、羽田空港着の航空機で帰国した。

 4メートル49は自身が持つ日本記録の更新。3度目の世界選手権で、ついに初の表彰台に立った。「メダル自体はすごくうれしい。気持ちよく試合ができた」と笑った。到着ロビーに姿を現すと、会社の同僚らから祝福の花束を渡され、満面の笑みを見せた。

 記録を伸ばせた要因について、掛け声と手拍子で跳躍を誘導する大森盛一コーチ(45)は助走を挙げる。今シーズン序盤は感覚のズレがあり、横に走ってしまっていたという。「まっすぐに走る練習をしてきた」と大森コーチ。8レーンある競技場で、20メートル以上先にいる大森コーチの音を頼りに、とにかく直線に走る練習を繰り返した。1レーン分ずれていた時もあったというが、地道な練習で修正した。昨年のリオ・パラリンピックでは8位入賞にとどまったが、地道な努力が実を結んだ。

 都内の自宅では8歳の長男諭樹(さとき)君が知人と留守を守っていた。大会期間中は、諭樹君とLINE(ライン)の電話で連絡を取っていた。メダルを取った後は「早く帰ってきて」とお願いされたという。メダリストから母の顔に戻って、笑った。