女子400メートル(切断などT47)で辻沙絵(22=日体大)が1分0秒67でリオデジャネイロ・パラリンピックに続く銅メダルを獲得した。

 他の選手が視界に入らない外側の8レーン。辻はスタートから果敢に飛ばした。「前半は挑戦してスピードを上げていった方がいい、監督からも前半から戦いに行けと言われていたので、それを実行できた」。最後のホームストレートでリオ大会の金、銀メダリストが抜け出した後は、「メダル、メダル」と頭の中で繰り返していたという。「苦しくて、苦しくて、苦しいけど、ここで倒れてもいいからメダルと取りたかった」。ゴール後は日の丸をまとって笑顔を見せた。

 リオから帰国後はメディアの取材が殺到し、思うように練習できなくなった。その影響か今季の調子はいまひとつ。この日のタイムも自身が昨年3月にマークした日本記録59秒72に1秒近くも及ばなかった。「タイムとしては全然間に合わせられていない。自己ベストを狙って走っていたけど、まだまだ後半の伸びが足りないということは分かっていた。その中で最後まで粘ってメダルが取れたことはよかった」。

 表彰台の3人はリオと同じ顔ぶれで、この1年間で上の2人との差も縮まっていない。「やっぱり東京ではいい色のメダルは取りたいし、君が代を流したいと思っています。その過程はまたすごく苦しいと思いますが、苦しみながら最後もがいていきたいと思います」。3年後の悲願の金メダルへ、辻は決意を新たにしていた。