女子シングルス(上肢障害SU5)で、世界ランキング1位の鈴木亜弥子(30=七十七銀行)が楊秋霞(19=中国)に8-21、21-13、21-18の2-1で逆転勝ちし、金メダルを獲得した。

 第1ゲームを一方的に押し切られたが、そこから立て直した。楊のバックサイド後方の深い位置にショットを集め、ネット際に落とされてもしぶとく対応。第2ゲームを競り合いながら7連続ポイントで奪うと、最終ゲームは1度もリードを許さなかった。

 楊には今大会1次リーグ初戦でストレート負け。昨年11月のアジア選手権決勝でも敗れていた。ライバルから3度目の対戦で初白星を挙げた鈴木は「日本の大会で、たくさんの応援をいただいて勝つことができました。絶対金メダルを取ると、自分に言い聞かせながら戦いました」と笑顔で試合を振り返った。

 10年に1度現役を離れ、昨年から本格的にカムバックした。20年東京パラリンピックでの正式競技採用に心が動かされた。09年に世界選手権を制した実績と経験で勝利を重ね、今年6月には世界1位の座に就いた。それでも「私自身はあまり意識していません」。中国が世界レベルの大会に選手を派遣していないからだ。この大会、鈴木のクラスには楊ら2選手が出場したが、それ以外にも実力者が2~3人いるという。

 「今回私が勝ったことで中国も研究してくるし、もっと厳しい練習をしてくると思います。だから、それ以上に頑張らないと」。6年近いブランクから体力面での不安もある。鈴木は今大会シングルスのみのエントリーで、この試合が5試合目。一方、楊はダブルスでも2種目戦って14試合目だった。「20年東京でも金メダルを取ります」という鈴木にとって、中国勢との技術、体力両面での争いを制することが目標達成へのカギになる。