東京都立府中けやき森学園が、うれしい初優勝を飾った。

 全国から特別支援学校24校が参加した大会で、3校ずつ8組に分かれた総当たりの1次リーグを2連勝で通過。決勝トーナメントでも接戦を粘り強く戦い抜き、決勝では東京都立鹿本学園を2-1で破って日本一の座に就いた。

 唐司(とうのし)あみ(16=高2)の放った赤いボールが、目標の白いジャックボールに吸い寄せられていく。最終第2エンドのラストショット。それまで一番近くにあった赤いボールにピタリと並ぶように止まった。鹿本学園の青いボールもジャックボールに近かったが、審判が慎重にメジャーでボール間の距離を測定した結果、府中けやき森学園に2点が認められた。第1エンドの0-1からギリギリの逆転勝利だった。

 「自信なんかなくて、冷や汗が出てました。ジャックに寄ればいいなぁと思って投げただけです」。表彰式が終わっても唐司は優勝が信じられない様子だった。昨年は1回戦敗退。その悔しさを晴らすため、チームメートとコツコツと練習積み重ねてきた。言葉とは裏腹に、今大会のゲーム主将に立候補したほど気合も十分だった。地道な努力が実って12日から英国・リバプールで行われる世界選手権の日本代表にも選出されている。

 準決勝では昨年準優勝の愛知県立小特別支援学校を破ったが、同校のエースは同じ世界選手権代表の江崎駿(17=高3)。1-1で決着がつかず、江崎の弟匠(14=中3)とのタイブレーク(主将同士がコート中央のジャックボールに持ち玉1球をより近づけた方が勝利)を制して勝ち上がった。

 世界選手権では江崎と組んでペア戦に出場する可能性もある。「初めての代表で、初めての大きな国際大会。世界の選手たちからいろいろなことを吸収してきたいです」。ピンクのマニキュアをした16歳の女の子は、優勝の喜びを胸に9日に英国へ出発し、世界に挑む。【小堀泰男】

 <優勝メンバーひと言>

 ◆清水茉莉(18=高3) 決勝戦の第1エンドでジャックボールにボールを寄せられなかったけど、交代で第2エンドから出場した木村君がいいプレーでカバーしてくれました。

 ◆木村泰志(17=高3) とにかく楽しんで、みんなで楽しくプレーしようと話し合っていた。チームワークで優勝できたと思います。

 ◆宮原陸人(15=高1) 唐司さんがいいショットを決めてくれたて勝てました。ボッチャ甲子園もテレビで放送されるようになって、高校野球みたいになればうれしいし、そうなるように頑張って練習したい。