女子走り幅跳び(切断などT63)で19歳の兎沢朋美(日体大2年)が、4メートル07のアジア新記録で初優勝した。

3回目の跳躍で自己ベスト3メートル91を16センチも更新。昨年の世界選手権(ロンドン)銀メダリストの前川楓(20=チームカイテキ)のアジア記録4メートル5を2センチ上回った。

「これまで練習で跳べたジャンプが本番では緊張して跳べず、メンタルが弱かった。今日は楽に跳べました」

驚き半分の兎沢は、目を丸くした。

4回目に前川が4メートル6と肉迫して意地を見せたが、兎沢も5回目に4メートルを跳んでみせた。「負け続けてきたカエデちゃん(前川)とやっと対等のレベルにこれたかな」(兎沢)。後半は2人の一騎打ちに会場が沸いた。

小5の冬に骨肉腫で左ひざの上から切断した。中2で義足を付けて陸上を始めたが「楽しんでいた」程度。その後、日体大陸上部にパラアスリートブロックが新設されたのを機に、入学して本格的に取り組むようになった。

「昨年は100メートルを走るので精いっぱい。今季は長距離を走って心肺機能を高め、筋力強化したのがよかった」

目標は20年東京パラでのメダル獲得だが、アジア記録に浮かれてはいない。

「次の目標は4メートル30かな。でもまだカエデちゃんの方が記録はコンスタント。これまで通り挑戦者のつもりでいます」

この謙虚さも成長の肥やしになっている。【首藤正徳】