リオデジャネイロ・パラリンピックで銀2つ、銅2つのメダルを獲得した木村敬一(28=東京ガス)が、男子100メートルバタフライ(視覚障害S11)で1分1秒17のアジア新記録をマークし、世界選手権参加標準記録をクリアした。

「僕は常にベストを狙っている。今回も自己ベストを出すつもりで来ました。テンポを落とさないように注意して、普通に快適に泳げました」

木村が泳ぎと同様、テンポよくコメントを口にした。昨年9月に自らが記録した1分1秒35を上回り、世界記録にあと0秒05と迫る力強い泳ぎ。一緒に泳いだ富田宇宙(30=日体大大学院)と国内レースでも世界トップレベルの競り合いを繰り広げる。そのライバル関係について「刺激になりますよ。今日も宇宙さんがいなかったら、最後は流していたかもしれないから」と報道陣の笑いを誘った。

昨春から米シカゴに拠点を置き、現地で単独トレーニングを続けている。練習環境を一新し、自らに新たな刺激を与えるためだ。パラリンピックには08年北京大会から3大会連続出場も金メダルは手にしていない。来年の東京で日の丸をてっぺんに掲げるためにあえて過酷な環境に身を置いている。

「世界選手権の100バタでは世界新で金メダルを取ります。僕はパラリンピックで自分の力を十分に発揮席ないことを知っていますから。だから東京の前にできるだけ記録を引き上げておきたい」

日本が世界に誇るスピードスターは自らの道を確実に進んでいる。【小堀泰男】