ノーシードの三木拓也(29=トヨタ自動車)が、世界1位の国枝慎吾(35=ユニクロ)に2-6、6-4、2-6のフルセットで敗れた。

日本人選手として国枝から07年全仏1回戦の斎田悟司以来12年ぶりにセットを奪ったが、金星はならなかった。

「勝つ組み立てができていただけに残念でした。ただ、今の状態ならばせいいっぱいだったかもしれません」。三木は悔しさをかみ殺すように言った。国枝のサーブをバックハンドのブロックリターンではじき返し、強打に低い弾道のバックスライスを交えて善戦。第2セット第10ゲーム、国枝のサーブを11回のジュースの末に破ってセットオールに持ち込んだ。ただ、最終セットにミスから流れを手放したのが惜しまれる。

17年11月にオランダのツアーに出場した際、移動バスの車いす用スロープが折れる事故に巻き込まれた。激しい腰痛に苦しみ、昨年1年間はツアーを離れざるを得なかった。その時、自ら契約する理学療法士を紹介し、復帰への道を開いて暮れたのが国枝だった。

「普通はライバルの立場の僕に自分のスタッフを紹介しない。国枝さんの助けがなかったら引退していた」。国枝からセットを奪ったのは7回目の対戦で初めて。ベストの世界ランク6位から64位に沈んでいる三木にとって、再浮上のきっかけになる敗戦でもあった。【小堀泰男】