陸上男子100メートル(切断などT64)で、井谷俊介(24=SMBC日興証券)が11秒55(追い風0・6メートル)で自身の持つアジア記録を更新した。陸上歴9カ月だった昨年10月のジャカルタ・アジアパラ大会の予選で出した11秒70を0秒15上回った。

目標は12秒を切ることだったという。井谷は「世界大会へ向けて、いい出だし。スムーズにトップスピードに乗せられた」とうなずいた。昨年9月の日本選手権で惜敗した前アジア記録保持者の佐藤圭太(27=トヨタ自動車)にも0秒54差をつけた。

昨年1月から100メートル10秒00の自己記録を持つ山県亮太(26)、女子100、200メートルの日本記録保持者・福島千里(30=ともにセイコー)らを指導する仲田健トレーナー(49)に師事する。体重も約8キロ増の73キロほどになり、パワーアップ。まだ走りの基本を学ぶ段階で、アジア初の10秒台も期待される。仲田トレーナーも「まだ筋力の左右差が違う。これからやることはいっぱいある。まだまだタイムは上がる」と言う。まだ伸びシロはたっぷり。プロのレーシングドライバーの夢も追う異色のアスリートは、1年後の東京パラリンピックへ向け、さらなる成長曲線を描いていく。