男子走り幅跳び(義足T63)は16年リオデジャネイロ・パラリンピック、17年世界選手権ロンドン大会銀メダリストの山本篤(37=新日本住設)が6メートル53で優勝した。2度のファウルがあったが試技を重ねるたびに記録を伸ばし、最終6回目にベストをマークした。

「万全ではない中でも、50台を跳べてよかった。今日は50が最低ラインと思っていたので」。日焼けした山本の顔に笑みが広がった。5月10日の北京GPで自己記録を更新する6メートル70のの日本新を樹立したばかり。同大会に合わせて調整した後、1度リラックスしたこと体調は十分ではなかったが、それでも第一人者の底力を見せつけた。

好調な今季の目標をライバルで昨年引退したポポフ(ドイツ)が保持する6メートル77の世界記録の更新に定める。「北京でも狙っていた」というが、出場者が2人で試技の間隔が短くなるなどペースをつかめずに日本記録にとどまっていた。

昨年3月の平昌パラリンピックにスノーボードで出場した際に痛めた左肩を同6月の練習中に脱臼し、半年以上競技を離れた。その間、体幹を中心とした地道な基礎トレーニングに集中したことが今季につながっている。

「世界新は自分のだけで出せるものではない。天候や会場の雰囲気もありますからね。でも今季、出しますよ」。山本は世界記録保持者として東京パラリンピックイヤーを迎えるつもりでいる。