女子走り幅跳び(視覚障がいT11)で、高田千明(34=ほけんの窓口)が4メートル60の日本新記録をマークした。17年の世界選手権で4メートル49を跳んで銀メダルを獲得しているが、それ以来の記録更新。11月の世界選手権(ドバイ)へ日本パラ陸連が設定する派遣指定記録の4メートル51も突破した。

「上から、下から、いろいろものが出てきそうなほど緊張していた。だから、1本目で決めたいと思っていたんです」と高田。世界選手権出場へラストチャンスの1回目は4メートル53。いきなり自己ベストで指定記録もクリアすると、勢いに乗った。3回目に4メートル57を跳ぶと、4回目には4メートル60まで記録を伸ばした。

これで“48の呪い”も振り払った。昨年10月のジャカタ・アジアパラでは1本目に4メートル48を跳んで銀メダル。6月の日本選手権(大坂)では6回の試技中3本でこの記録をマークしている。自らの日本記録に1センチ届かず、世界選手権出場も決めらずにいたが、土壇場で結果を出した。

16年リオ・パラリンピック以降に取り組んできた空中動作の安定がここにきて芽吹き、つぼみになりつつある。上体が突っ込まず、助走のスピードを高さに生かす。地道なトレーニングがこの日のジャンプに集約された。

一人息子の諭樹君(10)にからは「ドバイ旅行に連れていってね」とプレッシャー? をかけられ続けてきた。跳躍コーチにトレーナー、所属先の応援と“チーム千明”総動員で愛息との約束も果たした。「世界選手権では80以上を狙っていきたい。大きなジャンプでメダルに届けば…」。4位以内で20年東京パラリンピック代表を内定させ、本番で大輪の花を咲かせる準備に集中する。