男子49キロ級で西崎哲男(42=乃村工芸社)が銅メダルを獲得した。1回目に126キロを上げると、続いて130キロ成功。ともに3人のジャッジが白ランプをつけるパーフェクトな試技だった。3回目の132キロには失敗したが、1位の韓国、2位のラオス選手とともに表彰台に立った。

端正なマスクに笑みを浮かべ、西崎は言った。「東京パラリンピックへの可能性を少しでも広げるための挑戦です」。16年リオデジャネイロ・パラリンピックの54キロ級代表。今年7月の世界選手権(カザフスタン)でも同級で137キロを上げ、8位に入っている。そんな実力者が東京パラまで1年を切った時点で、1階級下の最軽量級へ転向した。

理由は明確だ。「東京へはどうしても出なければならない。家族や会社の方々の応援に応えたいし、出場して喜びや感動を表現したい」。東京パラ出場は17年の世界選手権から来春までの国際大会の重量によるランキングで争われ、各階級で8位以内に入れば出場が内定する。西崎の54キロ級の東京パラ・ランキングは世界選手権時の137キロで15位。この日成功した130キロで49キロ級では13位にランクインすることになる。

23歳の時、交通事故で車いす生活になった。「運動量が少ない分、減量には苦労します」と言うが、食事はできる限り減らさずにハンドバイクで1日20キロ相当走るなどして5キロ下の階級で戦う準備を整えてきた。奈良・添上高時代はレスリング部だったことで減量に抵抗がなく、車いす陸上で世界選手権に出場した経験も決断を後押しした。

54キロ級で142キロ、59キロ級でも138キロの日本記録を持つ。体重減はそのままパワー減につながるが「142を上げているので、記録への抵抗感はない。この階級でも(自己ベストを)超えられるように頑張ります」。来春のW杯2大会にも49キロ級で出場予定。まずは同じリオ代表・三浦浩(54=東京ビッグサイト)の日本記録、135キロの更新にチャレンジする。【小堀泰男】