東京パラリンピックのテストイベントとして行われたスペシャルマッチで、世界ランキング11位の三木拓也(30=トヨタ自動車)が本番会場の有明コロシアムでプレーした。同2位の第一人者・国枝慎吾(35=ユニクロ)との試合には1-6で敗れたが、「もうコンディションにはまったく問題はありません。そこは安心しています」と表情も明るかった。

東京パラ出場に手が届くポジションまでカムバックしてきた。17年11月、オランダの大会に出場した際、移動用バスの車いす用スロープのシャフトが折れる転落事故に巻き込まれた。高校時代に患った骨肉腫の影響で人工関節を置換している左膝を強打し、その影響から仙腸関節炎を発症。激しい腰痛で寝返りすら打てず、日常生活にも支障が出た。練習再開まで半年を要し、昨年は試合のコートに1度も立てなかった。

今年からツアーに復帰し、これまで6大会に優勝。今春には64位まで落ちこんでいた世界ランキングも日本人3番手の11位まで上昇してきた。自己ベストの6位(14年11月)には及ばないが、東京パラ出場要件1つである「来年6月8日付ランキングで上位40位以内」を現時点で満たしている。ランキングを維持し、来年のワールドチームカップ(国別対抗戦)で日本代表入りすれば、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会に続くパラリンピック出場が実現する。

「これまでの経験もあってここま上げてこれました。ケガしたことに感謝できるようになりました」。1年のブランクの間にサーブやストロークを微調整し、コンディションにもこれまで以上に気を配るようになった。「重い感じはなく、とても走りやすかったです」と改修された有明コロシアムのコートにも好印象を持った。アクシデントを乗り越え、よりたくましくなった三木が、東京へ歩みを進める。