女子SL4(下肢障がい)準決勝で、藤野遼(23=福岡大)がサグエイ(ノルウェー)をフルゲームの2-1(23-21、11-21、21-14)で破り、決勝に勝ち上がった。

6点のリードで迎えたマッチポイント。サグエイがショットをミスすると、藤野は両手を突き上げて喜びを表した。「2ゲーム目を取られたときは、終わった~と思いました。でも、戦術をもう1度思い出し、足をしっかり動かして戦いました」。

第1ゲームをジュースの接戦で先取したが、第2ゲームはワンサイドで失った。しかし、持ち味のフットワークを生かして拾いまくり、相手の弱点のフォアを突いてミスを誘う展開に持ち込んで最終ゲームを制した。「相手も私もミスが多い選手なんですが、今日は自分のミスが続かなかったのがよかったです」。試合後、メディアに囲まれた藤野は笑顔の花を咲かせた。

福岡大バドミントン部に在籍する。健常者の部員と一緒に活動し、パラの大会への出場機会はなかった。脳性まひの障がいがあってレギュラーの座は遠く、試合では主力選手のサポート役に徹してきた。しかし、東京パラリンピック前年の今年になってパラの日本代表として戦う環境が整い、春から世界各地で国際大会を転戦している。

8月の世界選手権(スイス)はベスト8。国際バドミントン連盟主催の大会では、優勝した9月のタイ国際以来3度目決勝進出になる。現在、東京パラリンピック出場ランキングは4位。同2位で1勝2敗と負け越していたサグエイを倒した。決勝の相手は望んでいた通り、同3位の程和芳(中国)になった。4連敗中のライバルから東京パラ出場に近づく勝利を奪い、2度目の優勝を狙う。【小堀泰男】