五輪競技として注目を集めるスポーツクライミング。この競技の中にも「パラ」部門があることを知ってほしいと、日本で初めて来年1月に足を使わずに、両腕だけで壁を登る大会「キャンパ・パラクライミング・バトル」が神奈川県横浜市のクライミングジムバム横浜店で行われる。

開催に先立ち、主催である一般社団法人フォースタート(堺市堺区)の理事長で、自身も同競技世界2位の実力を誇る大内秀之選手(41)が10日、大阪市北区の日刊スポーツを来社し、同大会をPR。「感動、元気、勇気を見ている人に届けたい。応援してください」とメッセージを送った。

パラクライミングはその障害の重さによってカテゴリーが分けられており、両足が障害または切断によって使えず、腕だけで登るカテゴリーはAL1とカテゴライズされる。日本では特にこのカテゴリーでの競技人口は少なく、大内選手によると10人程度。「選手を増やし、少しでも競技の認知度を高めたいと思った」と開催のきっかけを語る。

大内選手は競技歴わずか2カ月という短さで2017年1月の日本選手権で優勝。19年フランスで開催された世界選手権で銀メダルを獲得し、パラクライミング界を引っ張ってきた1人。「選手として自身の成績ばかりでなく、競技全体のことを考えることが必要。障害のある若者たちが自分たちが頑張る姿を見て『障害があってもこのままでいいんだ、障害があっても頑張れる』と感じられる後ろ姿を示したい」。

現在、同大会はクラウドファンディングで運営資金を集めている。開始28時間で目標金額達成し、次なる目標は支援者数を200人にまで増やすこと。「地元で応援してくれている方や福祉施設に勤めている方、クライミング関係者に直接ビラを配って、仲間、ファンを増やしたい」と次なる目標も語った。

同大会は感染症予防対策として、会場の5席を除き、すべてオンラインでの観戦となる。移動支援等が必要なパラクライマーにとって、練習の機会が少なくなっているが「そんな現状も大会が成功することで広く届けられれば」と願っている。