男子49キロ級は西崎哲男(43=乃村工芸社)が前回に続いて制した。リオデジャネイロ・パラリンピック54キロ級代表で、19年9月から1階級下に転じ、東京パラで連続出場を目指している。

「自分が思い描いていたものとは程遠かった。もっともっと精度を上げていかないと。まだまだ力が足りません」

54、59キロ級を含めて8大会連続で日本一に輝いた西崎だが、反省のコメントを並べた。悔やんだのは1回目の失敗。132キロをバランスを崩してあげられなかった。2回目にクリアし、3回目には136キロに成功してリオ49キロ級5位入賞のベテラン、三浦浩(56=東京ビッグサイト)を逆転した。

132→136→138キロ-。これがゲームプランだった。昨年10月のチャレンジカップ京都で138キロの日本新。記録を狙う場合にだけ許される4回目の特別試技でマークした重量を、この日は3回目で成功させるつもりだった。最初のミスで乱れた流れは最後まで尾を引く。今回も特別試技で140キロに挑んだが、失敗に終わった。

54キロ級でも142キロの日本記録を持つ軽量級の第一人者。49キロ級の東京パラランキングは133キロで12位につけている。出場圏の8位以内に食い込むには現状、147キロが必要だ。しかも、東京五輪・パラ開催には否定的な見方も多くなっている。

「僕が今、147キロと言っても現実味がない。1つずつランクを上げていって、確実に可能性を高めていきたい。(東京パラは)開催してほしい気持ちはある。安心、安全な大会運営と、大会が終わった後、多くの人がやってよかったと思える大会になってほしい」

ランキング対象大会は3月の英マンチェスター、6月のUAEドバイのW杯2大会。この日の試技をかみしめるように、西崎は謙虚に東京パラへの思いを語った。

◆パラ・パワーリフティング 下肢障がい、低身長の選手が対象で、台上にあおむけになった状態でバーベルを押し上げて重量を競うベンチプレス競技。東京パラでは男女各10階級が行われる。出場標準記録突破、国際パラリンピック委員会指定の国際大会出場、東京パラランキング8位以内の条件を満たした男女160人に加え、推薦選手20人の計180人が出場予定。