男子65キロ級で奥山一輝(23=サイデン化学)が悔し涙の初優勝を飾った。

1回目に147キロを挙げると、重量を152キロにアップ。自らの日本記録151キロの更新を狙ったが、続けて失敗し、記録を狙って4回目の特別試技にも挑んだが、力尽きた。

「情けない限りです。いつもしないミスを連発してしまって…」。奥山は大会ライブ配信のインタビューに目を充血させ、言葉を詰まらせた。138キロの佐野義貴(52)を抑えて日本一の座には就いたが、喜びはない。1回目の試技でバーベルを押した際、シャフトが頭上のラックに接触。成功したものの「第1から普段の試技ではなく、困惑してしまって立て直せなかった」と振り返った。

昨年2月の全日本で2位ながら特別試技で141キロの日本記録を樹立。10月のチャレンジカップ京都では一気に151キロまで重量を伸ばしていた。この日は156キロを目標にしていたが、「練習のフィーリングでは難なくいけると思っていましたが、集中力が足りず、気が緩んでいたのではないか」と反省の弁を並べた。

東京パラリンピック出場を争うパラランキングは140キロで17位。圏内の8位以内に浮上するためには45キロの上積みが必要だ。世界的にもレベルが高く厳しい階級で、ランキング対象大会は3月の英マンチェスター、6月のUAEドバイのW杯2大会になる。「東京パラまでまだあるので、諦めずに頑張ります」。急成長のリフターが最後の最後に力のこもった言葉を口にした。【小堀泰男】

◆パラ・パワーリフティング 下肢障がい、低身長の選手が対象で、台上にあおむけになった状態でバーベルを押し上げて重量を競うベンチプレス競技。東京パラでは男女各10階級が行われる。出場標準記録突破、国際パラリンピック委員会指定の国際大会出場、東京パラランキング8位以内の条件を満たした男女160人に加え、推薦選手20人の計180人が出場予定。