男子100メートルバタフライ(知的障がいS14)で東海林大(21=三菱商事)が55秒68のアジア、日本新記録をマークして優勝した。スタート直後からパワフルなドルフィンキックでトップに立ち、ターン後も後続を突き放してゴールした。

「最初からスタートでガツンといけた。3年ぶりの新記録でスッキリしました」。自らが18年に記録した55秒72を上回り、安心したようにフーッと息を吐き出した。

19年9月の世界選手権(ロンドン)で200メートル個人メドレーを2分8秒16の世界新記録で制し、東京パラリンピック代表に内定している。6日の第1日にはその得意種目を泳いだが、優勝はしたもののタイムは2分14秒83。ベストから大きく遅れ、浮かない表情を見せていた。

いつも持ち歩いているメモ帳で気分転換に成功した。前夜に「自分の結果をぶざまと言うな! 自信を持って、できる!」と力強く書き込み、ネガティブ思考を振り払ってこの日のレースに臨んだ。これまでは体の浮き沈みのタイミングで悩んでいたが、練習の成果で効率的な泳ぎができたことも記録更新につながった。

東京パラで表彰台のテッペンを目指すのは、やはり200メートル個人メドレー。今大会では100メートル自由形も泳いだが、「個人メドレーのスキルアップのつもりです」。初出場になる夏の大舞台へ「感謝の気持ちを忘れずに、1日1日練習を頑張っていく。メドレーの4種目すべてでいい泳ぎができるようにしたい」と、静か口調に固い決意をにじませていた。【小堀泰男】