女子3000メートル障害は森智香子(28=積水化学)が大会新の9分50秒67で制した。

久保倉実里(コモディイイダ)と2人だけのレースで「飛びやすいところ、ペースでいけるレース。ハードルの怖さを無くすように走った」。連戦で疲労もあっただけに「これだけのタイムは自信になった」。両手を大きく上げて、フィニッシュラインを駆け抜けた。笑った時のえくぼがトレードマーク。記録を確認すると、トラックの上で大喜びした。

実は女子3000メートル障害は日本勢が東京オリンピック(五輪)出場に大きな可能性持つ種目。参加標準記録(9分30秒00)の突破者こそいないが、世界陸連のランキングによって現段階で、吉村玲美、山中柚乃、藪田裕衣、石沢ゆかり、の4人が五輪に出る資格を満たしている。ちなみに男子100メートルも参加標準記録突破者とランキング圏内で五輪の出場資格を持つのは4人(サニブラウン・ハキーム、桐生祥秀、小池祐貴、多田修平)だ。

森は今、ランキング圏外だが、日本選手権など今後のレース結果次第では大きくランキングを上げられる可能性もある。「まだギリギリまでどうなるか分からない。しっかり目指して頑張りたい」と力を込めた。

練習拠点は違うが、女子長距離の新谷仁美(33)とは同じ積水化学のチームメートになった。「勝ちに拘る気持ち」など、その活躍には刺激を受ける。

取材が終わりそうになると、自ら「新谷さんの事を」を切り出した。

8日に5000メートルで15分42秒00の自己記録を出した後、ラインが届いた。そこには「直接言えなかったけど、自己記録おめでとう」と書かれていた。

森はその画面をスクリーンショットに保存し、励みにしている。

「普段は活動が別だけど、そうやって見てくださっているのが嬉しかった」。

そして報道陣の前で、感謝を述べ、「新谷さんにも届くように」と思いを込めた。