東京パラリンピック(8月24日~9月5日)の100日前イベントが16日、都庁で行われ、小池百合子都知事、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長、丸川珠代五輪相、日本障がい者スポーツ協会(JSPA)日本パラリンピック委員会(JPC)の鳥原光憲会長らが出席した。

鳥原会長は冒頭「大会延期という未曽有の事態となった1年だが、パラアスリートは、さまざまな制約の中で諦めるのではなく、どうすればできるのかを懸命に考えて日々の生活やトレーニングに工夫と努力を重ね、険しい道を乗り越えてきた」とあいさつ。大会開催への批判が選手にも向くようになった中、競技に集中したいパラアスリートを思いやるとともに、大会を取り巻く情勢を嘆いた。

「コロナウイルスの感染拡大が予断を許さない状況になって、国民の間に『いよいよオリンピック、パラ楽しみですね』という声が広がらないだけでなく『大会を中止にすべきだ』という声ばかりがニュースになり、大変残念でなりません」

史上初の延期をへて2度目の100日前。開催が決まった時には想像すらできなかった、節目を祝うどころか、夢舞台を目指す選手まで批判が届く社会事情に対し「大多数の声なき声にも届くように、あらためて大会開催の意義や、大会を招致した国、都市としての責任を誠心誠意、訴えて、国民の皆さんに協力をお願いし続けることだと思っている」と述べた。

そのために「今、大事なことは政府、東京都、組織委員会はじめ関係団体が連携して、徹底したコロナ対策による安全安心な大会準備に全力を尽くしている、ということを国内外に分かりやすく、繰り返し伝え続けることだと思う」と説明の重要性を再確認。パラリンピックのビジョンもあらためて口にし「多様性を尊重する社会、共生社会を育む、またとない機会。日本の将来の成長に好影響を与えるものだと思う。こうした価値が、収穫を目前にして損なわれることがないよう、私たちは国民の皆さまに大会開催に向けて温かいご支援をお願いしたい。これまでに経験のないオリンピック、パラリンピックを成し遂げて、いかなる難局も乗り越える日本の力を世界に誇れるように、開催に向けてパラアスリートとともに、いっそう努力していきたい」と決意を語った。

鳥原会長は1943年(昭18)生まれの78歳。東大経済学部から東京ガスに入社し、サッカー部(現J1FC東京)でプレーした選手だった。監督まで務めた後、Jリーグが発足した93年に社業の傍らサッカー部の部長となり、クラブのJリーグ参入(99年のJ2創設年)に向けて尽力した。

06年には東京ガスの社長に就き、10年に会長となった後、JSPAとJPCの会長を兼任。地元東京での五輪、パラリンピックに向けて障害者スポーツ普及を加速してきた。【木下淳】