スーパー複合女子座位で村岡桃佳(21=早大)が銅メダルを獲得した。同種目のメダルは日本選手初で、滑降、スーパー大回転に続き、3度目の表彰台に立った。1大会のメダル3個は06年トリノ大会の大日方邦子以来の最多タイ。好調な要因は、チェアスキーの入念な準備があった。

 村岡は前半のスーパー大回転で絶対女王のシャフェルフーバー(ドイツ)に0秒32差と肉薄して2位につけたが、後半は苦手の回転でライン読みを誤り、あと1歩及ばなかった。「悔しい、悔しい。完敗です。自分の至らなさを痛感した」と唇をかんだ。

 銅メダルには満足しないが3個のメダルの裏には、チェアスキーの存在がある。地元の埼玉県深谷市が12年に障がい児のスポーツ用具を支援する「ふっかちゃん子ども福祉基金」を創設。市のゆるキャラ「ふっかちゃん」好きでもある村岡が第1号となり、助成金49万5000円をチェアスキー代に充てた。市民の思いも込められた“相棒”とともに成長した。

 競技力向上のため用具の性能も追求。特にシートとスキー板をつなぐサスペンションにこだわった。2月のW杯で乗り心地が悪く、大会直前まで硬さを調整した。気温上昇でコースが荒れて転倒者が多い中、村岡は3種目で転倒なく手堅い滑りを見せた。大日方団長は「4年間で技術を磨き、レーサーとしての要素が身についた」と評価。1大会のメダル3個は同氏に並ぶ大記録になった。14日に大回転、15日に回転を控えるが「残り1つ、持ってないメダルを目指すだけ」と頂点だけを見据えた。【峯岸佑樹】