日本のエース渡部暁斗(29=北野建設)が2大会連続の銀メダルを獲得した。前半ジャンプ(ヒルサイズ=HS109メートル)で105・5メートルを飛んで3位につけ、後半距離(10キロ)をトップと28秒差でスタート。激しい競り合いの中で順位を1つ上げた。

      ◇       ◇

 最後のデッドヒートはテレビを見ていた方も、複合の面白さを感じてもらえたのではないか。渡部とフレンツェルの激しいトップ争いは、お互いに風をまともに受けるトップを交互に替わりながら、非常にフェアな中での一騎打ちだった。

 最後の上りでフレンツェルがスパートをかけたが、その手前からトップでレースを引っ張っていたことを考えると、彼の終盤に見せた爆発力がいかにすごいかが分かる。仮に20日の個人ラージヒル(LH)も同じ展開になったならば、渡部はその手前の平地で仕掛けるしかない。

 渡部としてはノーマルヒルで銀メダルを決めたことで、気持ち的にかなり楽になった。正々堂々と戦い、力を出し切っての銀メダルは、渡部の精神面にプラスに働くだろう。LH、団体では攻めのレースが期待できる。(94年リレハンメル五輪団体金メダリスト)