学生時代のラグビーで作った184センチ、97キロの体が吹き飛ぶかと思った。14日に私が担当するフィギュアスケート会場がある江陵で、晴天ながら謎の強風が吹いた。日本の友人に動画を送っても、バレンタインで浮かれているのか「お前は吹き飛ばない」と相手にしてくれず、現地紙の朝鮮日報の最大瞬間風速25メートルの文字で自分を納得させた。

 困ったのは仕事だ。大型テントのプレスルームは「ゴォオオオ」と地下鉄のようなごう音で揺れ、スタッフから「5分後にここを閉めます」と午後3時半頃に宣告された。危険を避けて外では手荷物検査を行うセキュリティーゲートのテントも解体。開幕前から「寒さ」が懸念されていた五輪だが、「風」は想定外だったようだ。

 アイスホッケー会場も同様で、仕方なく膝の上のパソコンから原稿を送信。再びフィギュア会場に戻るとゲートは消え、ADカードの目視だけで入場できた。普段はコーヒーさえ没収されるが、極端に緩くなるとそれも不安だ。【松本航】