平昌五輪フィギュアスケート男子で66年ぶりの五輪連覇を狙う羽生結弦(23=ANA)が13日、会場の江陵アイスアリーナで練習を行った後、20分間の会見を行った。

 -まず一言

 コメント、と振られてもどうしていいかわからないんですけど(苦笑)、とりあえずけがをしてから3カ月間試合を見るだけだったし、スケートも滑れない日がすごく長くて、きつい時期を過ごしましたけど、こうやってメーンのスケートリンクで滑れてうれしく思います。まだまだ試合が始まったわけでもないですし、全然気をゆるめるつもりはないですけど、しっかりと集中しながらできることをしっかり1つずつやっていきたいです。1個だけいいですか? 自分がけがをして、苦しい時期に、年が明けてからも、たくさんいろんな方々から応援のメッセージをいただきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいでいます。まだ試合が終わっていないので、こういうのもちょっと変かもしれないですけど、たくさんのメッセージをありがとうございました。そのメッセージの力を自分のスケートにつなげたいです。

-プレッシャーは

 こうやって、(集まった報道陣を見渡す)、こんなにたくさんの方々に囲まれて、取材をうけることをできる選手って限られていると思いますし、この数だけじゃなくて、ここにいる人々からさらに多くの人々へ、今日も観客席にいる人もいましたけど、たくさんの人々に自分のスケートを見てもらえるんだなという気持ちでいっぱいです。それがプレッシャーという言葉になるのかもしれないですけど、試合で滑ることができるので、せいいっぱい受け止めたい。僕のことを待ち望んでくれた方々にも待っててよかったと思える演技をしたい。

-3回転、4回転ジャンプはそれぞれいつから練習したか。何に注意したか

 ジャンプ跳べるまで、リンクにのれるまでが、長かった。それまで陸上でジャンプのフォームやイメージを確固たるものにかためようとしていた。跳び始めたのは、トリプルアクセルが3週間前、4回転が、2週から2週半前だと記憶しています。

-オーサー氏は先に現地入り。その間、トロントではどのような練習を

 トレーシーコーチとスケーティングの練習をしっかりやり、あとはジスランコーチがずっと一緒にいてくれたので、ジャンプのフォームだったり、感覚を重点的に練習していました。

-苦労した分、精神的にも強くなると聞く

 けがをしたから、というのは特にない。スケートが滑れなかった期間が2カ月ぐらいあり、その中でスケートをしていたら学ぶ機会がなかったものがたくさんあった。考えることがたくさんあった。2カ月間は無駄ではなかった。むしろたくさんのことを学べた。

-なぜプーが好きか

ソチ五輪で優勝して、それまでフィギュアスケートをみていない人もみてくれていた。その結果、たくさんの方がみてくれるようになったのがよかった。プーは、ジュニアのころからティッシュケースにしていて、そうしたらファンの方がたくさん投げ込んでくれるようになって、お部屋の中がプーさんになっちゃった。

-(松岡修造氏の質問)戻ってきてくれてありがとう。僕も同じけがをしたので、自分と向き合ったときに無理じゃないかと疑った時期があったと思う。そこをどうやってのりこえたか

 特に戻ってこれるか、戻ってこれないかは考えていなかった。確かにけがをしてしまって、NHK杯のときは痛み止めを打ってでも出ようと思ったんですけど、足首がうごかなくなってしまった。それから2カ月ってから滑るにあたって、なかなか難しいものがあって、これは治るんだろうかと考えていた時期もあったんですけど、でも実際滑れていますし、それがすべてだなと思います。過去に考えていたことはたくさんあるし、もちろんネガティブなことばっかりだったかもしれないですけど、でも今こうやって、たくさんの方々の前でしゃべっていますし、しかも悪いニュースじゃなくて、いいニュースとして、ここでみなさんの前でしゃべっているので、とにかく今できること、この平昌の、夢に描いた舞台で、夢に描いた演技をしたいと思います。

-メーンリンクで滑った感覚は

 昨年の4大陸のときもそうでしたけど非常に感覚がいいなと思いました。もちろん、まだ調整段階なのでやっていないジャンプ、エレメンツはあるのですが、徐々にやっていければ。自分の中でも計画があるので、臨機応変にピークをつくっていきたい。まだ試合までに数えるほどの時間はあるので、その時間を有効的に活用して、個人戦にピークが合うようにしていきたい。

-ソチより体重が減ったか

ソチの時は体重をはかっていないのでわからないんですけど、4年前より筋力がついてると思うので、体重は増えていると思います。

ループに関しては、うーん、あんまり言うことはないかな。本当に作戦が大事だと思っていて、たくさんの選択肢があるし、もちろん自分のなかではクリーンに滑れば絶対に勝てると思っているので、そのクリーンに滑るプログラムを何にしていくのかは徐々に調子をあげていくなかで決めていきたいです。

-氷にのってからどんなことに集中してきたか。どんなことが苦しかったか

 体力に関しては不安でした。氷上にのっていなかったので、回転の感覚とか、フィギュアスケートは陸上でできるものでもないので、氷の感触であったり、スケートの感覚であったり、そういうものは不安でありました。でも、滑ってみて1カ月たってここにいる。五輪に出られるって思えるぐらいの練習はしてこれているので、問題はないです。つらかったことと言われても特にないんですよね(笑顔)。やるべきことをこなしてきたし、これ以上ないことをしてきたので、何も不安要素はないです。やれることをやりたいと思っています。