日本男子の五輪挑戦は1932年レークプラシッド大会から始まった。82年の歳月をかけ、前回ソチ大会で羽生が金メダルを獲得。そして今回、羽生と宇野が日本人初ワンツーフィニッシュを達成した。

 欧米勢を中心に発展してきた競技。日本勢の苦戦は続き、表彰台は遠かった。92年アルベールビル大会で伊藤みどりが銀メダルで初の表彰台に立つ。だが「100年に1人」といわれた天才は引退。日本スケート連盟は個人の才能だけでは限界があると判断。「第2の伊藤みどりを育てよう」のスローガンの下、人材育成に着手。92年夏から長野・野辺山高原で、全国有望新人発掘合宿をスタートさせた。

 年1回、3泊4日の通称「野辺山合宿」。全国から9~12歳の小学生が今は100人以上が集まる。最近の五輪選手はほぼ全員が合宿に参加。当時強化コーチで現在ANAの城田憲子監督は「羽生は転んでばかりだったが、リズム感が良かった」と思い返す。合宿で選抜した小学生は欧州の大会に派遣、経験も積ませた。

 02年ソルトレークシティー大会では本田武史が4位。世界ジュニア選手権では02年高橋大輔、03年太田由希奈、04年安藤美姫、05年浅田真央が優勝と合宿の成果は表れ始めた。06年トリノ大会では荒川静香が日本勢初の金メダル。ソチ五輪では羽生が日本男子初の金。そして今回、黄金期を迎えた。