日本のエース宮原知子(19=関大)が自己ベストの75・94点を記録し、4位につけた。

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 宮原の人生には常に悩みがある。SP1位ながら坂本、三原の逆転を許した先月の4大陸選手権。その一夜明けで「もっと単純になりたいです」と漏らした。

 幼少期を過ごした米国から7歳で帰国後、浜田コーチとの歩みが始まった。あるスピンには4年、つま先を180度開いて滑る「イーグル」習得には10年を要した。ラケットの打球面を地面と平行に振るテニスや、バレーボールでは豪快に空振り。それでも迎えにやってくる両親を見ると「帰りたくない…」と大泣きして氷上を滑る少女だった。

 「今の下手だったね」「全くダメ」。常に容赦なく声をかけてきた浜田コーチは「それは知子が本当に鈍くさくて、こっちもできないのが当たり前と思っているから。普通、イーグルに10年もかかったらやめるでしょう? やるべきことを黙々とやる姿勢は、私も見習わないと」と親しみを込める。諦めない心が、またひとつ実った。【松本航】