平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子で66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦(23=ANA)が26日、日本選手団の一員としてチャーター機で帰国した。成田空港では、1000人を超えるファンの熱烈な祝福を受けた。都内でのメダリスト会見で、22年北京五輪主将について問われると前向きに受け答え。主将を務めるにふさわしい成績をさらに積んでいくと誓った。

 平昌の主役が日本に帰ってきた。金メダルを首にさげた羽生が姿を現すと、約1000人がごった返す成田空港第1ターミナルの到着ロビーに「キャ~」と悲鳴のような声援が飛んだ。あまりの人の多さに近くのエスカレーターは、緊急停止。警察や空港関係者が「止まらないで」と呼び掛けても、人の波は動かず、一時パニック状態となった。4年前のソチ五輪と同様の温かい出迎え。羽生は左右に手を振り、何度も頭を下げ、感謝の思いを示した。

 4つの金を含む、日本勢冬季過去最多13個のメダルを獲得した大会だったが、最も注目されたのは羽生だった。五輪放送の平均視聴率1位(関東地区)は17日の羽生の金メダル獲得を生放送したNHK総合の33・9%。都内に移動して行われたメダリスト会見では、羽生に質問が集中した。

 今後について「いろんなことに挑戦して」と発言すると、目指すかどうかを未定としている22年北京五輪での主将就任について話を振られた。「えーっと、えーっと。えー…、えー、うーん。あはは。そういう意味でチャレンジと言ったわけではないんですけど…」と笑って困惑の表情を浮かべながらも、こう続けた。

 「もし次の五輪で主将を任された時は、やっぱりそれはそれで光栄だと思います。ただ、そこにいきつくまでに、成績を積んでいないと、そういうことは言われないと思う。余計いま気を引き締められたというか、なんか後ろから火をつけられたような気分でいます」。“日本選手団の主将は金メダルを取れない”というジンクスは今大会でスピードスケートの小平が打破。次は主将として、フィギュア史上2人目の3連覇という偉業を目指す可能性もゼロではない。

 今後も成績を残すため、治療に専念する考えもあらためて示した。治療次第では、3月の世界選手権を回避する可能性もある。「治療とか、リハビリとか基礎はつらい。これからいろんな競技をみていく中で、『なんで自分はできないんだろう』とか落ち込んでしまうこともあるかもしれません。ただ、そういったつらい時期、苦しい時期を乗り越えて、次のことに向かって、前に進んでいけたら」。元気な姿で復活し、また次の伝説を残していく。【高場泉穂】