世界ランク9位のアイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」は今日10日、1次リーグB組で同5位スウェーデンとの初戦を迎える。前回14年ソチ大会は5戦全敗で最下位8位に終わった。元日本連盟強化本部長の坂井寿如氏(53)は初戦が大一番になると指摘。「スウェーデンに勝てば上位進出、負ければ全敗もある」と、初戦が天国と地獄の分かれ道になるとし、初戦必勝を説いた。

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 初戦がすべてのカギを握る。勝てば第2戦のスイス(世界ランク6位)に負けても、1次リーグ最終戦の韓国、北朝鮮の合同チーム「コリア」戦に勝って、決勝トーナメント進出が見える。ただ初戦に負け、スイスに連敗となれば、1次リーグ最終戦となるコリア戦も重圧から簡単にはいかなくなる。

 コリアは、韓国の世界ランクが22位で、9位の日本が負ける相手ではない。だが、今回は南北融和の象徴の合同チーム。日本以外の世界はコリアの初勝利を望むムードは否めない。完全アウェー。認めたくないが、ジャッジの笛もコリア有利の可能性がある。連敗後の崖っぷちの状況ではとても戦いづらい。

 日本代表の主力は4年前とほぼ同じ。完成度は上がり、守りは堅くなった。カナダなど海外リーグ経験者も9人に増加。全敗のソチでは、5試合でわずか6得点と決定力不足が課題だったが、心身ともにパワーアップし、決定力も向上している。初戦から積極的にシュートを打ってほしい。

 どうゴールをこじ開けるか。スウェーデン、スイスともにGKは大柄で技術力も高い。遠くから得点を奪うのは難しく、ゴール前の1対1も簡単ではない。スピードにメリハリをつけて、相手のリズムを崩す。パスを駆使しながら、狭いゴール前のスペースを生かしてゴールを決めたい。理詰めの一方で、ゴール裏からでもGKの背中に向かってシュートを打つくらいの強引さも必要になる。

 世界ランク1位米国、2位カナダの2強は抜けているが、その下は混戦。初戦に勝てば、メダルの夢も見えてくる。初戦は絶対に負けられない。

 ◆アイスホッケー ベンチ入りは1チーム22人とし、氷上で同時にプレーできるのは6人。1ピリオド(P)20分を3回行う。運動量を求められるため、試合中の交代は何回でもできる。通常はGK1人、DF2人、FW3人の構成だが、FW6人も可能。反則によって退場者が出ると人数が多い方は「パワープレー」、少ない方は「キルプレー」と呼ばれ、人数が少ない状態を「ショートハンド」という。