スピードスケート・ショートトラックの日本男子が初のメダルを目指した男子5000メートルリレーで予選敗退した。上位2カ国が決勝に進む戦いは中盤から3番手。残り4周に差し掛かるカーブでエース坂爪が転倒し「距離がちょっとあって、転ぶ可能性があったけれど勝負をかけた」。決勝進出を喜ぶ世界ランクで格下のハンガリーを横目に、最下位の屈辱を味わった。

 日中にはチームメートの斎藤が、ドーピング検査での陽性反応で暫定の資格停止処分を受けたことが発表された。動揺については渡辺が4人を代表して「その件は、あまり答えたくない」。昨年10月のW杯第1戦ブダペスト大会では3位に入り、6季ぶりの表彰台に到達。次走者の背中を押す「タッチ」を強化し、98年長野五輪から遠ざかる同競技のメダルを強く意識してきたが、渡辺は「純粋に悔しい」と沈痛な表情だった。

 前回五輪後はカナダ人ヘッドコーチ(HC)を招き、スタッフを一新。だが、選手を囲い込むナショナルチームと、所属先に溝ができた。ある指導者は「競泳のようにHCを中心に、それぞれのコーチが集うことを許してくれれば選手の心の負担が減る」と提唱する。20年続くトンネルは、想像以上に長い。【松本航】